第二回AFLANG大阪ミーティング報告(文責:塩田ラーフィヤ勝彦)

 

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20世紀最後のAFLANG大阪ミーティングは,12月9日,箕面は大阪外大,B棟2階学術交流室にてしめやかに執り行われました。当日は停電,断水等,若干のプロブレムこそありましたが,幸い秋の名残を思わせるふんわりした日差しに恵まれ,あくまで穏やかな雰囲気の中で会は進められたのでした。

 

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安部麻矢(京都大学)

「マア語(Kima'a)に関する考察―言語接触の視点から―」

 

マア語には,従来一種の混成言語と呼ばれてきたマア語Aと,地域の優勢な民族であるパレ語の一変種とも考えられているマア語Bの2種類がある。今回の発表では,ウサンバラ山腹における現在のマア語Aの,語彙面における社会言語学的地位が再検討された。発表者が20代のインフォーマントから得たデータは,先行研究のデータに比べ,かなりの割合でマア語A以外の言語の語彙が入っていることがわかった。若年層がスワヒリ語などの語彙を大量に混入した言語をマア語Aとして用いているという可能性があるが,これは他の言語でも確認されている現象である。

 

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佐藤尚子(京都大学)

「民族語の継承は可能か―タンザニア・キリマンジャロ州テマ村を事例に―」

 

発表者は,テマ村において伝統的な言語であるチャガ語の使用状況の変化に対し,村人がどのように対応しているか,現状の報告と社会変容の歴史的事実の両面から報告を行なった。チャガ語が衰退しているのは明白な事実であり,それに対して村人たちは,アイデンティティ保持のため言語は維持したいという態度と,社会的にメリットの少ないチャガ語が廃れるのは仕方がないという態度の二極に分かれるという。

 

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小森淳子(大阪外大)

「言語共存のあり方―ウケレウェのケレウェ語とジタ語」

 

タンザニアのウケレウェではケレウェ語とジタ語の二言語が話されているが,近年ジタ語が優勢になってきている。ところが,発表者が住民を対象に行なった語彙テスト(スワヒリ語の単語を与え,両方の言語で該当する単語を言ってもらう;ちなみに住民はケレウェ語とジタ語の両方を話す)によると,むしろケレウェ語がジタ語にとって替わっている例が多く見られた。共存する言語の変化を考える上で示唆的なデータである。

 

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予定されていた米田信子さん(神戸松蔭女子学院大学)の発表は,都合により延期されました。次に期待しましょう。

 

なお,会は13時から17時まで行なわれ,その後は恒例の宴会となり,稗田助教授の「助」の字がとれたということで,皆でお祝いしました。会は二次会三次会へと流れ,途中O外大HPジャック計画やら神埼川のタコ騒動などありましたが,何だかよく覚えておりません。あしからず。

 

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参加者:安部マヤ,宮崎久美子,小森淳子,佐藤尚子,カミヤ俊郎,宮本正興,中島久,稗田乃,竹村景子,中川美保子,中井恵理,塩タ勝彦






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