1)su<aad ra -haa DaRt l- liqaamaと言った場合、過去にソアードがポットにはっかの葉を入れるという出来事があったという客観的事実を述べるだけである。しかし、もしその後彼女の妹がまたポットにはっかの葉を入れようとしたとして、それを「もうソアードがはっかの葉を入れたから、これ以上入れなくていいのよ」と止めるような場合は、はっかの葉を入れるという行為の結果、すなわちはっかの葉がまだポットに入っていることを示す能動分詞形を用いて、次のように言わなければならない。
ソアード げに 3女単斜 置く3女単完了 限定辞 はっか
fe -l- berraad.
〜の中 限定辞 ポット
ソアードがティーポットにはっかの葉を入れた。 (<:有声咽頭摩擦音、大文字:強調音つまり咽頭化音、e:シュワの代わり) (女:女性、単:単数、斜:斜格)
2)su<aad Dayra l- liqaama ソアード 置く 女単能分 限定辞 はっか fe -l- berraad. 〜の中 限定辞 ポット ソアードが(もう)ティーポットにはっかの葉を入れた。 (能分:能動分詞)ほかにも、死ぬ mat の能動分詞形 miyyit(男性単数)、miita(女性単数)、miitiin(複数)は、既に死んでしまってこの世にいないことを表す。
3)daak l- weld bba-h u- mm-u miitiin. あの 限定辞 少年 男単 父 3男単斜 と 母 3男単斜 死ぬ 複能分 あの少年は父母を失っている。(孤児だ) (複:複数)また Harrell (1965:323-325) の言うところの「行為の始まり及びそこから生ずる結果的な経過や状態」の双方を表す動詞では、「結果的な経過や状態」については、能動分詞形で「直後の状態や単純な進行行為が表される」とのことだった。例えば、座る gles を例に取れば、行為の始まりは起立状態から腰を落としていくところ(図のA点からB点まで)であり、着座したところ(B点以降)がその結果となるわけである。
4)nti glesti <a -l- <ajiina! 2女単主 座る2女単完了 〜の上に 限定辞 パン生地 あなたはパン生地の上に座ってしまったわ! (主:主格)と、完了形を用いて私に警告する。なぜなら、私が起立(点ア)から着座(点イ)に移行する過程が完了するのを見たからである。それに対して、もしお台所に私が一人でパン生地の上に座っているところへ、誰かが入ってきたとすると、その人は、
5)nti galsa <a -l- <ajiina! 2女単主 座る2女単能分 〜の上に 限定辞 パン生地 あなたはパン生地の上に座っているわ!と能動分詞形を用いることになる。なぜなら、この場合ではその人は私の起立している状態を見ておらず、着座という結果(点イ)だけを見たからである。また、その後あわててパン生地の上から立ち上がった私は、あとでお母さんに謝るときに、
6)>ana glest <a -l- <ajiina. 1単主 座る1単完了 〜の上に 限定辞 パン生地 私はパン生地の上に座ってしまいました。 (>:声門閉鎖音)と完了形を使うことができる。これは点アから点イへの移行が完了して、今は点ウにいることを示す。このように、能動分詞形は行為の完了そのものよりも、その結果を重視する表現であることがわかる。
7)Mimi mjuwwej bent xalt -u ミミ 結婚させる男単受分 娘 母方のおじ 3男単斜 u- TLLeq -haa そして 離婚する3男単完了 3女単斜 ミミは母方の従姉妹と(ずっと)結婚していたが、(最近)離婚した。 (x:無声口蓋垂摩擦音)のように、結婚の状態が長く続きかつ離婚してすぐの頃であれば、離婚した後でも「妻を得た、結婚した djuwwej 結果としての結婚状態を指すのに用いられ得るのである。
8)Mimi djuwwej bent xalt -u ミミ 結婚する3男単完了 娘 母方のおじ 3男単斜 u- TLLeq -haa そして 離婚する3男単完了 3女単斜 ミミは母方の従姉妹と結婚し、離婚した。という。また、kaan + mjuwwej の形を使って、
9)Mimi kaan mjuwwej bent xalt -u. ミミ 〜だ3男単完了 結婚させる3男単受分 娘 母方のおじ 3男単斜 ミミは母方の従姉妹と結婚していた。と言うと「離婚した」と言わなくとも、結婚の状態が過去のことであって現在は離婚していることがわかる。