グローバル化する現代において,秩序崩壊や宗教対立から生じる矛盾に対峙し,関係回復の道を探ることが求められています。世界各地のムスリム社会が築いてきた寛容な共生社会の経験を,過去から現在につながる「記憶」として記録・蓄積します。これをフィールド・アーカイビングとして,情報の可視化・公開・利用も含めて総合的に捉えようとするものです。「イスラーム信頼学」プロジェクト(p.18)や,共同研究「グローバル地中海地域研究」(p.19)と連携する他,海外拠点を活用した学術交流,セミナーを通じた次世代研究者育成にも積極的に取り組みます。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/history-core アジア・アフリカの社会は,複雑な形の多言語状況が見られるようになっています。この状況を正確に把握するためには,これまで記述言語学の枠組ではとらえることが難しかった事柄,例えば,異なる言語コミュニティ間のかかわりあい,言語の通時的変化,さらにはその背景にある現地社会の構造や文化・歴史にも目を向けて記述・記録を行っていく必要があります。そこで,これまで単なる言語データとして扱われてきた話者の語りを「経験・知識を伝えるメッセージ」として捉え,隣接分野を含むさまざまな観点からの分析を試みます。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/ling-core5全所プロジェクト『アジア・アフリカの現代的諸問題の解決に向けた新たな連携研究体制の構築』のもと,言語学・人類学・歴史学各分野の軸となる基幹研究を展開しています。研究代表者:野田仁関連所員:飯塚正人,小倉智史,黒木英充,黒沼太一,後藤絵美,近藤信彰,髙松洋一,床呂郁哉研究代表者:山越康裕関連所員:安達真弓,荒川慎太郎,倉部慶太,呉人徳司,児倉徳和,澤田英夫,塩原朝子,品川大輔,中山俊秀,星泉,渡辺己「記憶」のフィールド・アーカイビング:イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明中東はアジアとアフリカをつなぐ地域であり,イスラーム圏はそれを大きく包み込む地域概念です。アジアとアフリカをイスラームとその関係性から見直す研究を推進しています。アジア・アフリカの言語動態の記述と記録:アジア・アフリカに生きる人々の言語・文化への深い理解を目指して(略称 DDDLing)人々の「語り」の記録を通して,多言語混在状況でのよりよい相互理解のあり方を探ります。
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