AA_年報2023
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 言語研修は当研究所が設立後間もない1967年から開催している短期集中型の研修です。アジア・アフリカで話されている言語を主に扱い,国語・公用語だけでなく少数民族の言語など他では学習することができないような言語の研修も積極的に行なっています。どの研修も対象言語を専門とする研究者とネイティブ話者がペアで講師を務め,語学だけでなく現地調査や文献調査を行うために必要な言語知識や調査の手法など,専門的知識の教授も行っています。記述言語学のトレーニングとして研究がほとんど進んでいない言語を対象としたフィールドメソッド方式の研修も行なってきました。 これまでに研修を実施した言語の数は,延べ145言語,修了者数は延べ1300名以上にのぼります。修了者の中にはアジア・アフリカ地域の専門家として活躍している人も数多くいます。 講師陣によって独自に開発された教材は,この研修の大きな特徴であり学術的成果でもあります。それら教材は大学リポジトリhttp://repository.tufs.ac.jp/ にて公開されています。また,ウェブサイト「言語研修オンライン」https://ilc-online.aa-ken.jp/ では,研修内容の一部をオンライン・コンテンツ化して提供しています。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/training/ilc◉フィールド言語学ワークショップ 2011年度より開催してきた本セミナーでは,博士論文や投稿論文を執筆中の文化人類学/社会人類学/生態人類学を専門とする大学院生や若手研究者が研究発表し,発表草稿を博士論文や投稿論文に練り上げるための学術的議論の場を提供しています。2015年度からは日本文化人類学会(次世代育成セミナー)との共催となりました。発表者ごとに,論文の査読に匹敵するようなかたちで内容にふさわしいコメンテーターがつき,最新の学術的議論に関する情報提供を行なっています。またセミナー参加者が同じ世代の若手研究者の発表を聞いて異なる観点から意見を交わすことで,知識の幅を広げることも目的としています。本セミナーによって所属をこえた研究者間の交流が促進され,若手研究者の研究活性化につながることを期待しています。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/training/others/cul-soc-anthro-sem11 アジア・アフリカの個別言語の記述的研究を専門とする研究者を対象にフィールドワーク言語学の手法を共有するためのワークショップです。主な参加者は大学院生・ポスドクなど若手研究者で大学の枠を超えた研究者ネットワーク構築の一助となっています。 フィールドワークの手法や収集したデータの処理方法,さらにはデータを研究に活かす方法までを扱う「テクニカルワークショップ」と若手研究者が記述的研究の成果を発表する「文法研究ワークショップ」の2つの枠で開催しています。 AA研は言語学・人類学・歴史学の各分野に多くのスタッフを擁しています。専任教員のうち助教を除いた教授・准教授全員が,東京外国語大学大学院総合国際学研究科における教育活動に参画しています。主としてアジア・アフリカ地域を研究対象とした,言語学,人類学,歴史学などを専門分野とする博士後期課程の学生を受け入れ,指導を行なっています。さらに,博士前期課程の教育活動にも一部教員が参画しています。AA研に所属する教員を主任指導教員とする大学院生は現在は少数ですが,人類学・歴史学の合同ゼミをはじめとした特色ある手厚い指導を行なっています。AA研が展開している各種セミナーへの参加を通じて,同分野の他大学の大学院生との交流ができる点も大きな特徴といえます。■指導体制 AA研の教員を主任指導教員とする博士後期課程では,一部合同ゼミの体制をとっています。人類学・歴史学ゼミでは毎週1回合同ゼミが開かれ,担当教員・学生の全員参加のもと活発に議論する場として論文指導に活かされています。AA研の設立後間もない1967年から開催している短期集中型の研修です。研究者とネイティブ話者がペアで講師を務め,生きた言語を伝えてきました。AA研の基幹研究における人類学系若手研究者育成事業として,実施しています。国内外に開かれた共同利用・共同研究拠点として,典型的な大学院教育だけでなく,大学間の垣根を越えた広い範囲での後継者養成を事業として積極的に展開しています。大学院教育文化/社会人類学研究セミナー言語研修

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