AA研年報 2021-2022
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5地域研究・歴史学系Area Studies/History「中東・イスラーム圏における分極化とその政治・社会・文化的背景」中東はアジアとアフリカをつなぐ地域であり,イスラーム圏はそれを大きく包み込む地域概念です。アジアとアフリカをイスラームとその関係性から見直す研究を推進しています。 エジプト,ナイル・デルタ地帯の田植え風景。エジプトは中東で希少な稲作可能地域で,アラブ地域のコメ料理では,エジプト産米が長く使われてきた。(撮影:熊倉和歌子)  レバノン南部にイスラエル軍が残していった戦車。(撮影:黒木英充)  中東都市多層ベースマップシステムのトップページ。 「中東」は20世紀初めに出現した地域概念で,今日まで変化し続けています。また私たちは「イスラーム圏」を広くとらえており,それはグローバルに拡大しています。イスラーム教徒と非イスラーム教徒とが(またイスラーム教徒同士が)相互的な交渉や関係性をどのように形成してきたか,そこでどのような文化をつくり上げてきたのか,といった問題をテーマにしています。現代世界において社会的な分断と分極化の高まりが見られますが,中東・イスラーム圏においても内戦や宗派対立が激化し,欧米を含めた世界各地でイスラームをめぐる社会問題が深刻化しています。本基幹研究はこれを長い射程の中で多方向から総合的にとらえる研究をしています。社会の歴史的基層に実証的に取り組む研究や,現代の政治体制に関する比較研究,新しい人文情報学の手法を使った研究などを進め,それらを基盤にした大型プロジェクトも立ち上げました(科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム信頼学」)。ベイルートとコタキナバルの海外拠点を活用した国際的学術交流,中東☆イスラーム研究/教育セミナーその他の次世代研究者育成にも力を入れています。代表者:黒木英充関連所員:飯塚正人,苅谷康太,熊倉和歌子,後藤絵美,近藤信彰,髙松洋一,床呂郁哉,野田仁http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/history-core

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