AA研要覧 2013
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30研究資源フィールド言語学ワークショップ研究者養成ことばを記録するAA研では、研究者養成のための研修事業の一環として、特に大学院生・ポストドクターなどの若手研究者に向けたフィールド言語学に関する様々なワークショップを行っています。これらのワークショップは、特に研究の進んでいない言語のドキュメンテーションと記述に関するもので、日本の大学では通常、授業として行われていないものです。そのような研究者養成の一端を担うことは、AA研の重要な役割のひとつでもあります。ほとんどのフィールド言語学ワークショップでは、参加者がそれぞれ自分がフィールド調査を通して得た言語データを持参することが求められます。ワークショップの講師が助言するばかりではなく、参加者同士が互いの経験を共有することによって、知見を広め深める場となっています。フィールド言語学ワークショップには、大きく分けて以下の3つのシリーズがあります。Documentary Linguistics Workshopロンドン大学東洋・アフリカ研究学院(SOAS)のHans Rausing Endangered Languages Projectと連携して2008(平成20)年から行われている約1週間の短期集中ワークショップです。言語ドキュメンテーション分野を代表する研究者を講師に迎え、日本の記述言語学分野の若手研究者に言語ドキュメンテーションの理論と実践をレクチャーします。また、レクチャーで得た知識への理解をより深めるため、少人数のグループに分かれてアーカイビングの疑似体験や言語学習教材の企画・作成などをテーマとしたプレゼンテーションを行うグループワークの機会も設けています。文法研究ワークショップフィールド調査で得られる生の言語データに基づいた文法現象の分析、文法の記述、通言語的な比較・対照を行う上での諸問題に焦点を当てて企画されるワークショップです。地域的・構造的に多様な言語を実地に調査する研究者が集まり、大学や地域の枠を越えた交流の機会を提供しています。テクニカル・ワークショップフィールド調査で得られた言語データの管理・整備・加工・変換に必要な基本的技術の習得を目指すワークショップです。これまで、パソコンによるデータ処理の基礎知識や、フィールド言語学者がよく使うToolbox, ELAN, Praatなどのソフトウェアの使い方を扱ってきました。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/training/eldling-ws/フィールド言語学ワークショップ

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