18共同利用・共同研究課題共同研究【現代アフリカにおける<国家的なもの>に関する研究:ニューメディア・グローバリゼーション・民主主義】2012~2014年度 代表者:内藤 直樹(徳島大学) 所員2/共同研究員17本課題は、現代アフリカとその周辺地域における国家の再編にかかわる諸問題を検討することを通じて、グローバリゼーションのなかで展開する新たな国家や市民社会の可能性について構想する。そのために次の3つの領域におけるアクター間の交渉や葛藤に関する民族誌を比較検討する。①携帯電話やインターネットなどのニューメディアの導入・利用・普及、②移民・難民による経済活動およびイスラム金融や中国経済の台頭といった国家や地域を越えたグローバルな経済活動、③国際社会や国際NGOがつよく関与する民主化運動や先住民運動。本共同研究は、これら現代アフリカの国家再編にかかわる民族誌を比較検討することで、アフリカという一地域で育まれてきた社会や文化に根ざした新たな地域像の可能性を提出するとともに、国民国家という枠組の再編過程を総合的に解明する方途を探求する。【前近代南アジアにおける中間的諸集団の再検討】2012~2014年度 代表者:太田 信宏 所員3/共同研究員19本課題は、イギリス植民地支配期以前の南アジアにおいて、さまざまな中間的社会集団がそれぞれの政治、経済、社会的文脈のなかでどのように発展し、いかなる役割を担っていたのかを検討する。前近代南アジアでは「カースト」や村落、村落連合(「地域共同体」)、都市、商人仲間、教団・宗派などが一定の自律性・自立性をもって存在していた。これら諸集団間の闘争と折衝の過程、さらには諸集団と支配権力の間のそれに着目して、南アジアの歴史的展開を捉え直す。本課題では、固い枠組みをもつとされる社会集団(「カースト」など)だけではなく、雑多な諸集団を取り上げ、それらを支えた内的結合の多様なあり方を、集団間の比較も行いつつ明らかにする。【イスラームに基づく経済活動・行為】2013~2015年度 代表者:福島 康博 所員2/共同研究員10本研究課題は、イスラーム金融やハラール産業、ムスリム女性のファッション、巡礼やイスラーム・ツーリズムなど、イスラームに基づく産業における経済活動、および六信五行の実践やシャリーアに則った生産・分配・消費というムスリムの経済行為に注目し、複数のディシプリンから多角的な分析を通じて、これらの現象の現代的な意味と意義を明らかにすることを目的とする。研究対象地域としては、中東・北アフリカ、東南アジア、南アジア、中央アジアなどである。人類学、地域研究、経済学などのディシプリンをもった研究員が、共同研究を通じて、各地で観察されるイスラームに関連する経済活動・行為の実態の解明を行っていく。【歴史的観点から見たサハラ以南アフリカの農業と文化(2)】2013~2015年度 代表者:石川 博樹 所員2/共同研究員15サハラ以南アフリカ諸国の経済停滞が国際的な懸案となっている現在、大多数の国々の基幹産業である農業についての研究を一層深化させることが国際的に求められている。これまで我が国におけるサハラ以南アフリカ農業研究は、主に農学、人類学、経済学の研究者によって実施され多くの成果をあげてきた。本研究課題においては、これらの学問分野の研究者に歴史学研究者も加わり、サハラ以南アフリカ諸地域の農業と文化の関連について歴史的観点からの研究を共同で実施する。特に社会的・文化的に重要な役割を果たしてきたにもかかわらず未解明の課題が少なくない主食用作物に関わる史的諸問題を広範に検討することによって、サハラ以南アフリカ農業研究の新たな研究領域の開拓を試みる。
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