AA研要覧 2013
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16共同利用・共同研究課題共同研究【地域民族誌の方法論と人類学的空間構想力の可能性の探求】2012~2014年度 代表者:高倉 浩樹(東北大学) 所員3/共同研究員14本企画では、「アフリカ」「中東」などの地域名を掲げた地域民族誌研究を事例としてふりかえりつつ、人文学・社会科学における民族誌的知見の位置づけを解明するとともに、人類学の可能性を探求しようとするものである。様々な地域でのフィールドの現場における民族誌的事実を理解するために必要な空間的構想力のあり方を支える方法論や視座がどのようなものかを言語化する。具体的には、各地域に特徴的な議論、研究の手法を紹介しながら地域民族誌の研究史をたどり、当該地域をどのように概念化してきたのか、そこで内包されていた前提や視座を明示する。その上で地域民族誌と地域研究における方法論の共通性と相違に着目したうえで、日本の人類学における地域民族誌の特徴を解明する。【人類社会の進化史的基盤研究(3)】2012~2014年度 代表者:河合 香吏 所員5/共同研究員19本共同研究課題は人類社会をその進化史的基盤という視座から捉えることをめざしておこなわれてきた長期的な共同研究の第3期にあたり、霊長類学、生態人類学、社会文化人類学という3学問分野を柱として、これに倫理学の専門家を加えたメンバーで構成される。この長期共同研究はこれまでに「集団」および「制度」をテーマとしてきたが、本共同研究課題はテーマを「他者」と設定し、これまでの共同研究で明らかになったこと、すなわち、人類はさまざまな集団をなし、さまざまな制度を備えた複雑で多様な社会に生きていることに対し、そうした社会において「他者」はどのような存在として個に顕れ、対峙し、関係するのかといった側面から、人類の社会と社会性の進化に関する議論を深化、展開する。■歴史学・地域研究系【中国古代簡牘の横断領域的研究】2011〜2013年度 代表者:陶安 あんど 所員1/共同研究員8簡牘とは、木や竹で作られた「ふだ」のことをいうが、それは、中国では3世紀頃まで広く用いられていた書写材料の一つであると同時に、その形態に様々な意味が込められたモノでもある。例えば現在カードにICチップが埋め込まれるのと同様に、「符・券」という簡牘には、信憑性を確保するため、記載内容に合致する特殊な刻みが施され、またパスワードのように、文書に「封検」という特殊な形状の簡牘を組み合わせ、内容漏洩を防ぐ工夫などもなされていた。こうしたモノとしての簡牘は、複雑で長いライフサイクルを有する。作成・作成目的に沿った利用と再利用から目的外の再利用と廃棄に至るまで、簡牘は時に形状と機能を変化させ時空を移動しつつ、社会生活の様々な局面に立ち会った。そのため、簡牘には当時の豊富な情報が刻み込まれている。本研究課題は、簡牘の文字情報の正確な解読を基礎に据えつつ、中国古代の社会生活を語る証人としての簡牘に新たな生命を吹き込んで、新しい簡牘学の構築を目指すものである。【東南アジアのイスラームと文化多様性に関する学際的研究】2011〜2013年度 代表者:床呂 郁哉 所員5/共同研究員15本研究の研究目的としては、まず第一に東南アジアの多文化的状況の解明を目指している。より具体的には、文化的な多様性を特徴とする東南アジアにおいて、ムスリムと非ムスリムはどのような関係性を保っているのか、また両者が相互交渉するなかで互いの文化・社会的アイデンティティをどのように構築しているのか、さらには東南アジア域内の多文化状況が政治や経済、司法、教育などの社会的・公共的領域へもつ影響や含意は何か、といった点について実証的に解明することを目指す。

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