共同研究研究資源15概 要研究者養成共同利用・共同研究課題【日本語のノダに類する文末表現標識の通言語的研究:思考プロセスの観点からのアプローチ】2013~2015年度 代表者:角田 三枝(立正大学非常勤講師) 所員1/共同研究員8日本語のノダ文については多くの研究がある。角田(2004)は「思考プロセス」という原理を提唱した。これは、話者がある現象を見た時に、「1.認識、2.疑問、3.推察、4.答え」を経て思考が展開し、「4.答え」の所でノダ文が現れるというものである。この原理を用い、単文、複文、談話におけるノダ文の機能を統一的に論じた。本共同研究は「思考プロセス」を応用し、アジアのいくつかの言語のノダ文に相当する文の機能の解明と、新たな談話理論の構築を目指す。「ノダの思考プロセス」が他の言語にもあてはまれば、普遍的な原理と考えられる。言語によって、意味が進展するつながり方の違いなども観察し、今後の意味の進展も、予測できるかもしれない。 【通言語的視点から見たオーストロネシア諸語の情報構造】2013~2015年度 代表者:内海 敦子(明星大学) 所員1/共同研究員19本研究の第一の目的は、通言語的な情報構造に関する事象および分析方法や理論のもとに、オーストロネシア諸語の情報構造を分析し、それによっ て他の様々な統語的事象を説明することである。これに際し、日本語や英語など、研究の進んでいる言語における情報構造の専門家を交え、分析に使用する術語およびアプローチについて全員の同意を得る。第二に、オーストロネシア諸語の中で、情報構造が与える現象をタイプ分けする。定・不定の区別、あるいは新情報・旧情報の区別が統語的事象にどのような影響を与えるかを、各言語の担当者が分析し、報告する。第三に、他の諸言語とオーストロネシア諸語を比較し、普遍的な点と特異な点を明らかにする。第四に、近隣の諸語との言語接触の影響が見られるかどうかを考察する。■人類学系【多元的想像・動態的現実としての「華人」をめぐる研究】2011〜2013年度 代表者:津田 浩司(東京大学) 所員1/共同研究員9本研究は、今日主に東・東南アジアの各地で、ある一群の人々がどのように「華人であること」を生き、またどのような広がりでもって彼らなりの「華人世界」を思い描き、新たな関係性を構築しようとしているかを、多角的に明らかにすることを目的としている。言うまでもなく「華人であること」は、それぞれの地で歴史性を帯びた文脈依存的なものであり、また近年その「華人」たちを取り巻く環境も、東南アジアをはじめとする各国での政治状況の変化、国際地政学上の中国のプレゼンスの高まり、あるいはグローバル化のさらなる進展などを受け、大きく変わりつつある。本研究ではこうした事態を踏まえ、様々な出自や背景、文化要素を身に帯びた人々が、現在どのようなことを背景に、どのような「記憶」を(再)生産し、またそれによってどのような「我々の広がり」を想像し、かつ現実に立ち上げようとしているか、そしてそれが当事者もしくは外部者によってどのような意味で「華人」であると認識されるのか、その過程を具体的事例に即しつつ多元的に明らかにする。この作業を通じ、何らかの社会事象を学術的に「華人」と一元的に表象することの意義と限界を検討する。【思考様式および実践としての現代科学とローカルな諸社会との節合の在り方】2012~2014年度 代表者:春日 直樹(一橋大学) 所員2/共同研究員15本プロジェクトでは、科学技術に関する専門的な知識を備えた人類学者が、哲学及び自然科学の第一線の研究者と共に、具体的な事例を詳細に議論し、思考及び実践の様式という点から、ローカルなコミュニティにおける人々の生活と節合する現代の科学の在り方を考察する。それによって、1)思考様式としての科学、2)実践としての科学、3)領域化された科学、について明らかにし、推論システムとして専門化された個々の分野について特性と可能性を検討していく。
元のページ ../index.html#17