12基幹研究共同研究共同利用・共同研究拠点である本研究所の中期的研究戦略の柱として、研究所内で自発的に組織された研究班によって展開される共同研究軸です。2010(平成22)年度から3年の計画で以下の課題が基幹研究として採択され、外部評価委員による活動評価と厳格な審査を経て、本年度からさらに3年の研究継続が認められました。【言語ダイナミクス科学研究】代表者:中山 俊秀AA研基幹研究「言語ダイナミクス科学研究」は、①言語多様性の記録のための研究活動(Language Description & Documentation)の活性化と、②言語運用と変化の実際、言語の多様性の実際を踏まえた、ダイナミックな現象・システムとしての言語の研究(Linguistic Dynamics Science)の新展開を目的として組織された。具体的には以下のような活動を通して関連研究を先導していく:・危機言語を中心とした研究未開発言語の臨地研究の推進・記述研究を支える方法論開発と共同研究インフラの整備・言語運用の実際を基盤とした理論研究枠組みの再構築・言語の構造的多様性の幅と深さ、およびその多様性に見ら れる規則性の研究・言語構造の形成・変化に見られる規則性の探求とそれを形 作る動機付けの多面的研究本研究の第2フェーズ(2013-2015)では、これまでの3年間に築いた言語多様性に関する共同研究体制を維持発展させながらも、第1フェーズ(2010-2012)における研究の進展と近年の社会的要請の変化をふまえ、特に危機言語の記述とドキュメンテーション研究分野での学術成果の社会還元により力を注ぐ。http://lingdy.aacore.jp/【アフリカ文化研究に基づく多元的世界像の探求】代表者:深澤 秀夫本基幹研究の主たる目的は、グローバル化のなかで大きな変容を迫られているアフリカ諸地域の文化を研究する本研究所の人類学・地域研究(歴史学)研究者が、各自の研究活動に立脚しつつ、共同で多元的世界像の探求・構築を進めることである。アフリカ文化研究の具体的なテーマとしては、たとえば、植民地経験と社会変化、遊牧民/牧畜民と農耕民、人の移動と集団間関係、社会の中の女性/シングル、などがあげられる。メンバーが個々にこのようなテーマで研究をすすめつつ、研究班全体として、公開研究会・セミナーの開催、海外研究者との連携によるシンポジウムの開催などを行い、ウェブサイト等をつうじて研究成果の発信を行う。以上のようなアフリカ文化の基礎研究は、紛争・難民、政治的民主化、社会的差別等、現代アフリカの抱える諸問題の理解と解決に不可欠であるばかりでなく、それらの問題の根本にある近現代世界の構造そのものを問い直し多元的な世界像を構築するのに寄与するものと期待される。http://aaafrica.aacore.jp/【中東・イスラーム圏における人間移動と多元的社会編成】代表者:黒木 英充本基幹研究は、中東から東南アジアまでを含めたイスラーム圏において観察される人間移動と、諸宗教宗派・民族の織りなす社会関係とを連関させて、「多であること」の問題性を追究する。多元的社会の生成過程とイスラーム的ネットワーク拡張の動態、移民・難民の政治社会空間に対する影響、個人・集団のアイデンティティ戦略と政治思想の連関、などの問題に取り組む。 本基幹研究は、2005(平成17)〜2009(平成21)年度「中東イスラーム研究教育プロジェクト」の発展形である。ベイルート・コタキナバル両海外拠点を管轄するフィールドサイエンス研究企画センターや、MEIS「中東イスラーム研究拠点」と連携しながら、ベイルート拠点において共同利用・共同研究課題を国際的規模で推進する。また中東☆イスラーム研究/教育セミナー、ベイルート若手研究者報告会や歴史文書セミナーなどを通じて次世代研究者の育成にも当たる。さらに歴史的画像資料などの修復やデジタル化、それを使った研究成果の社会還元を積極的に行う予定である。http://meis2.aacore.jp/基幹研究共同研究の軸
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