29共同研究概 要研究言語研修本研究所では毎年夏、専門研究者と母語話者を講師陣に迎え、アジア・アフリカ地域の研究を志す初学者を対象とした短期集中プログラムによる言語研修を実施しています。言語研修に参加することで、現地調査や文献研究を行うために必要な言語知識や調査の手法など、専門的知識も学ぶことができます。研修言語は、おもにアジア・アフリカ地域で話される少数民族の言語を含めた様々な言語を取り上げています。毎年、東京会場で2言語、大阪会場で1言語の研修を実施しています。これまでに実施された言語の数は、のべ117言語、修了者数のべ1118名にのぼっています。修了者の中からは、大学や研究機関の職につき、アジア・アフリカ地域の専門家としての道を歩んでいく方々が輩出しています。実施にあたっては、語学教育に造詣の深いAA研内外の専門委員と担当講師および所員がプロジェクトチームを組み、実施方法や評価についての議論を行い、効果的な研修を目指しています。すべての研修において講師陣が独自に教材を開発していることも、AA研の言語研修の大きな特徴のひとつです。関西会場の研修のうち大阪で実施されるものは、大阪大学世界言語研究センターの協力を得て行われます。研修生は、大学などの研究機関を通じて全国から公募します。研修を修了した人には審査のうえ、修了証書が授与されます。2006(平成18)年度より東京外国語大学外国語学部および大学院の開講科目となりました。2010(平成22)年度は、アムド・チベット語、スワヒリ語(東京会場)、スィンディー語(大阪会場)の講座を開講しました。2011(平成23)年度は、シベ語、アムハラ語(東京会場)、客家語(大阪会場)の講座を開講予定です。現在、これまでに作成されてきた教材のウェブ上での公開も進めており、完成したものから順次公開しています。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/training/ilc/フィールド言語学ワークショップことばをによって、お互いからも学ぶ場となっています。フィールド言語学ワークショップには、大きく分けて以下の3つのシリーズがあります。Documentary Linguistics Workshop:毎年実施される5日間に亘る短期集中ワークショップと、それに関連するワークショップです。言語ドキュメンテーションに関するさまざまなテーマを扱います。文法研究ワークショップ:フィールド調査で得た言語データに現われる、さまざまな文法事象に関するワークショップのシリーズです。テクニカル・ワークショップ:フィールドで得た言語データの管理や加工に関する技術的なワークショップのシリーズです。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/training/eldling-ws/AA研では、特に大学院生・ポストドクターなどの若手研究者に向けたフィールド言語学に関するさまざまなワークショップをおこなっています。これらのワークショップは、特に研究の進んでいない言語のドキュメンテーションと記述に関するもので、日本の大学では通常、授業としておこなわれていないものです。そのような研究者養成の一端を担うことは、AA研の重要な役割のひとつでもあります。ほとんどのフィールド言語学ワークショップでは、参加者がそれぞれ自分がフィールド調査を通して得た言語データを持参することが求められます。ワークショップの講師が助言するばかりではなく、参加者同士がさまざまな経験を共有すること言語研修フィールド言語学ワークショップことばを教える
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