共同研究15概 要研究共同利用・共同研究課題(共同研究プロジェクト)【漢字字体規範史研究 第二期】2010〜2012年度 代表者:石塚 晴通(北海道大学名誉教授) 所員1/共同研究員13漢字字体には規範がある。本プロジェクトは、その規範の歴史的転換をもらたす強い影響力を持つ文献、及びその規範を忠実に反映した文献からなる「漢字字体規範史料」を選定し、漢字字体規範の史的展望を行なう。過年度までの「漢字字体規範史研究」 (2007〜2009) プロジェクトで構築した「漢宇字体規範データベース」 HNG (http://joao‐roiz.jp/HNG/) を研究基盤に置き、漢字字体史の科学的な編年規準を確立する事を目指し、その過程で史的・国際的検討に耐える漢字字体概念の一般化と文書化を行なう。又、HNGデータベースの拡張にも努める。(HNGデータベースは、「東洋文字文化の継承と発展に寄与する優れた業績」であるとして第一回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」を受賞している)。メンバーには、文献学だけでなく、工学(光学的手法による非破壊文書年代検査法)専門家を含み、唐代写本・奈良朝写経を多数所蔵する正倉院事務所所長、京都国立博物館学芸部副部長、海外からは大英図書館・フランス国立図書館の各敦煌コレクション責任者を(別途科研費により招いて)加え、編年規準の客観化・国際化に十分留意したプロジェクトとする。http://joao-roiz.jp/HNG/【契丹語・契丹文字研究の新展開】2010〜2012年度 代表者:松川 節(大谷大学) 所員1/共同研究員810世紀、現中国北部〜モンゴリア地域に成立した契丹(遼)では、漢語とともにモンゴル語系の「契丹語」が主要言語として通用し、「大字」と「小字」という異なるタイプの文字体系を用いて記されていた。これらは石刻史料の形態で現存するが、資料数は僅少であり、内容的にも墓誌に限られる等の偏重もあり、結果的に未だ契丹語および文字の解明には到っていない。また従来の研究においては、契丹文字資料の研究は歴史学的見地からの研究が主流を占め、言語学的見地からの研究は充分に尽くされているとは言い難い。本プロジェクトは、契丹文字資料について、最新の言語学的研究をもとに研究・分析を行い、新たな契丹語・文字研究を目指す。3年という時限を設定し、段階的に研究成果を示す。具体的には契丹文字碑文の検討を通じて、1)資料データの収集、2)個々の契丹文字の画像抽出、などを行い、研究者・一般が活用できる形で公開する。その上で、3)主として言語学的な視座からの研究を行い、その成果を論集等にまとめて報告・公開することを目標とする。http://liaojinxixia.web.fc2.com/【アフリカ諸語の情報構造と言語形式の類型論的研究】2011〜2013年度 代表者:稗田 乃 所員1/共同研究員12アフリカ諸語の情報構造と言語形式の関係を探るための研究組織を形成する。アフリカ諸語の情報構造と言語形式の関係を研究する国際ネットワークの構築をめざす。同時にフンボルト大学において、プロジェクトと同様の「アフリカ諸語における情報構造と言語形式の関係について」の研究プロジェクトを、本プロジェクトとの連携を模索して申請した。近年、注目されている情報構造と言語形式のあいだに存在する関係について、アフリカ諸語の資料から研究する。共同利用・共同研究課題における研究テーマは、以下のものである。アフリカで話されている言語においても、情報構造は、プラハ学派以来の普遍的なものであるか。アフリカ諸語が情報構造を表現するのに、どのような音韻論的、形態論的、統語論的、言語形式を用いているのか。情報構造と言語形式のあいだに存在する関係を類型論的に分析すると、なんらかの類型論的特徴が見つかるか。観察される類型論的特徴に地理的関係が存在するか。以上のような研究テーマにしたがって、研究組織を形成し、国際研究ネットワークの構築を模索する。
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