共同研究13概 要研究共同利用・共同研究課題(共同研究プロジェクト)集 い 、 究める共同利用・共同研究拠点である本研究所にとって、所員が所外の研究者と共同で推進する共同利用・共同研究課題(共同研究プロジェクト)は、もっとも大切な研究事業のひとつです。プロジェクトに参加する所外の研究者は、AA研の「共同研究員」の身分を委嘱されます。各プロジェクトは毎年、所外の研究者を含む「共同研究専門委員会」によって、その研究成果や広報、そして学術的意義において評価されます。これまで数多くのプロジェクトが組織され、約650点におよぶ出版物や、オンライン辞書・データベースなど、多様な研究成果をあげています。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/2010(平成22)年度に進行中の研究課題以下のリストでは、大きく分野ごとに分けていますが、多くの研究プロジェクトが複数の分野にまたがるテーマを扱っています。■言語学系【多言語状況の比較研究】 2008〜2010年度代表者:砂野 幸稔(熊本県立大学) 所員2/共同研究員32 従来、多言語状況の管理を目的とする言語政策をめぐる議論は、基本的に一国レベルで取り上げられてきたが、一方ではグローバル化による英語の影響力の拡大があり、他方ではEUの少数言語憲章や、世界銀行、ユネスコ等による「万人のための教育」キャンペーンの母語主義教育など、各国民国家のレベルを超えた介入が、各国家の言語状況に影響を及ぼすようになっている。一国一言語という19世紀ヨーロッパ型国民国家の理念型がもはや通用しないことは明らかだが、それに代わる多言語主義にもとづく社会の形成については、さまざまな試みはすでに存在するが、いまだ試行錯誤の段階を超えていない。本研究では、ヨーロッパとアジア、アフリカの相互に大きく異なった歴史的社会的諸条件のもとにあるさまざまな国家、社会の言語問題とそこで行われている言語政策について、相互比較を通じて、従来の一国レベルの理解とは異なった総合的な展望を得ることを目指したい。【チベット=ビルマ系言語から見た文法現象の再構築 2】2009〜2010年度 代表者:澤田 英夫 所員3/共同研究員12格の体系とその周辺現象を扱った「チベット=ビルマ系言語からみた文法現象の再構築1」に続く本プロジェクトでは、「文の特徴付けと下位分類」をテーマとする。前プロジェクト同様、メンバーが各自の研究によって得たチベット=ビルマ系諸言語の文の構造と機能に関する言語事実、および、それらを観察し記述する視野の広がりと深さを共有し、それによって各メンバーが文を観察する視野を拡大・深化させ、その視野から見た文に関する具体的な記述を推し進め、ひいてはチベット=ビルマ系言語の文に関する知見をより豊かなものにすることを目指す。【宣教に伴う言語学(第2期)】2009〜2011年度 代表者:豊島正之 所員2/共同研究員7大航海時代のキリスト教宣教に伴って16~17世紀に作成された布教対象語の研究書(辞書・文法書)及び宗教書(教義書・修徳書等)は、ラテン文法が通用する言語とは全く系統の異なるアジア・アフリカ・南米の諸言語との最初の言語学的邂逅の記録として、「宣教に伴う言語学」という言語学史の新領域の研究対象を形成している。「宣教に伴う言語学」は、21世紀に入ってからの研究の進展がめざましい若い研究分野である。大航海時代の「宣教に伴う言語学」に関連する資料・史料は、歴史的経緯から世界各地に散在しており、研究者も、南米、アフリカ、インド、フィリピン、中国、日本と分散している。又、「宣教に伴う言語学」研究には、当時のラテン・スペイン・ポルトガル語以外に、各布教対象語の十分な知識が必要であり、これらの条件から、必然的に、国際的な共同研究が要請される。本プロジェクトの目的の1つは、大航海時代の「宣教に伴う言語学」の国際的な共同研究のために必要なリソース、関連する文献学・言語学の研究リソースを作成・維持し、国際的共同研究に資する点にある。【朝鮮語歴史言語学のための共有研究資源構築】2009〜2011年度 代表者:伊藤智ゆき 所員1/共同研究員16古代~現代という長期に亘る朝鮮語の歴史言語学的研究においては、表記法上の制限(15世紀にハングルが創製されるまでは朝鮮語は基本的に漢字のみで書き表されていた)や、文献間もしくは一文献内における言語学的現象の揺れや非一貫性、といった問題点を克服するため、専門的かつ厳密な書共同利用・共同研究課題(共同研究プロジェクト)
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