32 音声学実験室 音声学実験室には,音声言語の性質・特徴や発話の調音状態を観察し記録するために次のような機器が用意されています。 パーソナルコンピュータを用いた音声分析プログラムでは,音声の各時点ごとの構成周波数の変化や強さを濃淡模様で表示するスペクトログラフや基本周波数の抽出ができます。スペクトログラムでは従来の機械式のそれと同様に用途に応じてワイド・バンド,ナロウ・バンド,セクション,音圧の表示ができるうえに,基本周波数を連続的にプロットして表示することもできます。基本周波数測定は測定したい範囲を音声波形上に指定してもできますが,スペクトログラム上の範囲指定もできますので,基本周波数と音節との対応が容易になります。もちろん,各時点ごとの測定値も表示できます。画面の時間表示も自由に変えることができますので,数文にわたるピッチ変化のようなデータも, また音節内のピッチ変化のような詳細な測定を要するようなデータも画面に表示できます。 1サンプルの最大録音時間はサンプリング周波数やコンピュータのメモリーによって異なりますが,現在のシステムでは10kHzを上限とする測定(20kHzサンプリング)のためのデータで最大約10分間可能です。さらに, ある音声データを他の音声データの任意の部分に付加したり, またある音声データからその一部を切り取ったりすることも可能ですし,音声データの特定の部分のみを繰り返し聴取することもできます。 エレクトロ・パラトグラフは,舌の調音運動を観察し記録するための機器です。32個の微小な電極を埋めこんだ人工口蓋を発話者の口蓋にはめて,各時点ごとの電極と舌との接触状態を,前面パネルに口蓋状に配列したランプの点滅で示してくれます。もちろん, この点滅表示を特殊用紙に記録することもできます。 このほかに,ビデオテープ編集機やカセットテープを高速に複製するテープ・デュプリケーターが,フィールド調査で録音されたテープの複製作成や言語研修用テープの作成のために用意されています。また,良好な条件での発話資料を録音するために,防音室や各種のテープレコーダーも用意されています。 附属施設の音声・言語研修資料室には,フィールド調査で収集された世界の珍しい言語や貴重な民話,民族音楽などのテープやレコードをはじめ,これまでの言語研修テキストのテープ,アジア・アフリカ地域の諸言語の語学テープとレコードが整理・保管されていて,研究者の利用の便を計っています。 アジア・アフリカ言語文化研究所のホームページのお知らせ 本研究所では平成6年度からホームページを開設しています。 本研究所の研究会の案内や研究活動の詳細,研究成果の出版物一覧など,最新の情報を提供しています。どうぞご一覧ください。 ホームページのアドレス:http://www.aa.tufs.ac.jp/
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