31図書室 日本における唯一の,大学附置の人文科学系共同利用研究所である本研究所は,アジア・アフリカ諸地域の言語文化に関する研究に必要な基礎資料を,1964(昭和39)年の創設以来収集してきました。 この間,民族の独立,対象地域の複合化,研究手段の高度化等,当該地域に関する研究の諸条件は大きく変化してきました。この現況を考慮しつつ,内外の研究機関,大学等より参集する共同研究員等の需要に応えるため,多様な資料を収集しています。海外研究機関(約50カ国,150機関)との寄贈・交換による資料をも継続的に収集しています。また,本学の教職員,大学院博士後期課程在籍者に対する貸出しや本学の学生およびその他の機関,他大学の教官,学生に対する閲覧サービスもおこなっています。 2001(平成13)年3月末現在,蔵書(備品資料)の総数は94,026冊,マイクロフィルム 10,020リール,マイクロフィッシュ 31,390,雑誌は約1,220タイトル等です。蔵書のなかには,アジア・アフリカ等諸地域の教科書や世界各国語の聖書をはじめ,イランの主要新聞(19世紀末-1970年のマイクロフィルム:65種)や19世紀末に創刊されたベンガル語文芸雑誌のバックナンバーを多数揃えており,オスマン語劇場ポスター,ナポレオン「エジプト誌:第2版」,19世紀「カイロ石版画集」,晩清(中国)製糖画集,トリピタカ(カンボジア語版・南伝大蔵経)等々,他の研究機関には見られない貴重な資料も所蔵されています。 また外国雑誌の収集には,特に留意し,欠号補充等の努力を続けています。 なお,本研究所には現在,下記5種の文庫があります。 ①山本文庫:1967(昭和42)年受入 著名な満洲語学者,故山本謙吾氏(1920- 1965)の個人蔵書で,満洲語・ツングース語関係の諸文献を中心に言語学・音声学・アルタイ語学等に関する諸文献(和・洋書計598冊)を含む。 ②浅井文庫:1970(昭和45)年受入 著名なオーストロアジア言語学者,故浅井恵倫氏(1895-1969)の蔵書。アジア・アフリカ諸言語の研究書・辞典類・雑誌等(和・洋書計870冊)をはじめ,高砂族関係の貴重な言語資料,ニューギニアの民族写真その他(アルバム,ノート,原稿,書簡,直筆辞書,単語カード,未発表の高砂族伝説集索引カード等)を含む。 ③小林文庫:1976(昭和51)年受入 著名なモンゴル史研究者である故小林高四郎氏(1905-1987)の個人蔵書で,モンゴル民族の生活と習俗に関する文献(和・洋書計1,671冊)を含む。 ④前嶋文庫:1986(昭和61)年受入 わが国におけるイスラム研究の創立者の一人である故前嶋信次氏(1903-1983)の個人蔵書のうち,和漢書1,272 冊を受け入れたもの。イスラム関係のみならず,東洋史,東西交渉史,旅行記などを含む。 ⑤王文庫:1993(平成5)年受入 著名な台湾言語学者,故王育徳博士(1924 -1985)の個人蔵書で,台湾の言語学,文学,歴史,政治関係の諸文献を中心にしたコレクションである。歌仔戯,1950年代から1980年代にかけて日本で展開された台湾独立運動家が発行した雑誌やパンフレット,台湾で発行された党外雑誌や王博士の手稿など貴重なものを多数含む。(和・中・洋書等計3,163点)。
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