16 この共同研究プロジェクトは歴史的イラン,すなわちイラン高原のみならず,中央アジアをも含む<大イラン(the greater Iran)>という枠組みの中で,<イラン的要素>とは何かについて,言語・歴史・文化・思想・社会など多方面から考察し,歴史的イラン世界の全体像を描出することを目的としている。 平成10年度に発足以来,3年にわたって計11名の研究者による事例研究報告・討論を重ねてきたが,この世界の歴史の古さ,地理的広大さ,文化的多様性も与って,未だ初期の目的を達するに至っていない。したがって,本年度(最終年度)はこれまでの研究の継続と併せて,隣接文化圏とりわけインド,トルコ,アラブ文化圏との比較・対照を行うことによってイラン文化の特質を浮かび上がらせたい。 なお,当研究プロジェクトの目的,当初計画の詳細は,2000年版『アジア・アフリカ言語文化研究所要覧』を参照いただきたい。 今澤浩二 小名康之 上岡弘二 川瀬豊子 北川誠一 近藤信彰 坂本 勉 清水和裕 清水宏祐 寺島憲治 縄田鉄男 間野英二 山口昭彦 吉田 豊 本プロジェクトにおいては,独立後のアフリカ諸国,特に現代において国家と宗教がどのように協調,相克しているのかを記述,分析し,アフリカ各国の将来を展望することを主眼とする。 アフリカ諸国において,伝統宗教,イスラム教,キリスト教は人々の糾合にどのような役割を果たしてきたのか,あるいは果たしていないのか。それらの宗教は新生国家において国民統合に役割を果たしたのか,あるいは国家機構の横暴を牽制する役割に終始しているのか。ひとつの国家のなかでイスラム教徒,キリスト教徒など異なった宗教信奉者が対立することで,国民統合に宗教が阻害要因になっていることはないか。国家の内実が問われ,民主化の実現が急務になっている現在,諸宗教にはどのような機能を果たすことが要請されているのだろうか。原理的に言えば,本来,国家のめざすところと,宗教のめざすところとは相矛盾するものである。でありながら,ヨーロッパ諸国,そして日本においても国家と宗教は相互に依存しあうことが歴史的に多かった。アフリカ諸国の国家と宗教の現状を検討し,将来的な動きをも予測する研究をおこないたい。 なお,2001年度は成果のとりまとめのための実務的な作業年とする。 遠藤 貢 大林 稔 落合雄彦 勝俣 誠 栗本英世 小馬 徹 佐藤 章 嶋田義仁 武内進一 竹沢尚一郎 津田みわ 戸田真紀子 松田素二 吉田憲司 歴史的イラン世界に関する研究 (主査:家島彦一/所員 3,共同研究員14)独立後アフリカ諸国における国家と宗教 (主査:小川 了/所員4,共同研究員14)
元のページ ../index.html#18