19 本プロジェクトにおいては,独立後のアフリカ諸国,特に現代において国家と宗教がどのように協調,相克しているのかを記述,分析し,アフリカ各国の将来を展望することを主眼とする。 アフリカ諸国において,伝統宗教,イスラム教,キリスト教は人々の糾合にどのような役割を果たしてきたのか,あるいは果たしていないのか。それらの宗教は新生国家において国民統合に役割を果たしたのか,あるいは国家機構の横暴を牽制する役割に終始しているのか。ひとつの国家のなかでイスラム教徒,キリスト教徒など異なった宗教信奉者が対立することで,国民統合に宗教が阻害要因になっていることはないか。国家の内実が問われ,民主化の実現が急務になっている現在,諸宗教にはどのような機能を果たすことが要請されているのだろうか。原理的に言えば,本来,国家のめざすところと,宗教のめざすところとは相矛盾するものである。でありながら,ヨーロッパ諸国,そして日本においても国家と宗教は相互に依存しあうことが歴史的に多かった。アフリカ諸国の国家と宗教の現状を検討し,将来的な動きをも予測する研究をおこないたい。 遠藤 貢 大林 稔 小田 亮 落合雄彦 勝俣 誠 栗本英世 小馬 徹 佐藤 章 嶋田義仁 武内進一 竹沢尚一郎 津田みわ 戸田真紀子 松田素二 吉田憲司 和崎春日 本プロジェクトは,イスラーム圏において国際関係がいかに形成され,認識され,発展してきたかを,総合的に研究することを目的としている。その出発点として,600年以上にわたって中東地域の中核部で発展し,また文書資料による情報を豊富に蓄積してきたオスマン帝国を対象に選び,(1)その対西方すなわち地中海・西欧地域に向けて,(2)対北方すなわちロシアに向けて,そして,(3)対東方の中央アジアとイラン,インド洋地域に向けて,そしてさらに可能であれば,(4)対南方のアフリカ内陸地域に向けての,それぞれの国際関係の実態を,時代的な発展過程に留意しながら多角的に論ずる場をつくりだしたい。ここでいう国際関係とは,国家間の外交関係のみならず,その基層をなした人間たちの交流の具体相もふくむ広義のものである。従って,国際条約とイスラーム法の関係,戦争と安全保障,外交団の構成と活動,通訳,貿易と関税,巡礼といったさまざまな問題が設定される。これらの課題を,古代西アジア世界もふくめた長期的展望のなかで位置づけ,同時に現代世界の国際関係,とりわけ中東地域をめぐる国際政治に対しても新しい有効な視座を提供できるように検討してゆくものである。 稲野 強 江川ひかり 奥田 敦 小山田紀子 川口琢司 小松香織 佐藤幸男 佐原徹哉 新谷英治 鈴木 董 高松洋一 永田雄三 野坂潤子 羽田 正 深沢克己 堀井 優 堀川 徹 松井真子 三沢伸生 宮崎和夫 山口昭彦 独立後アフリカ諸国における国家と宗教 (主査:小川 了/所員4,共同研究員16)イスラーム圏における国際関係の歴史的展開-オスマン帝国を中心に- (主査:黒木英充/所員5,共同研究員21)
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