17 アジアの複数の言語・表記系の混在する環境で,多言語共存電子メール・wwwページ等を正しく表示し,多言語対照テキストデータベース,対訳辞書などを編纂・検索するためには,文字コードを曖昧さなく運用し,それに基づく文字列操作(string manipulation)・文字列照合(collation)をおこなうことは,必須の要素である。にも拘わらず,現状の国際文字コード(符号化文字集合)とそれに基づく計算機システムでは,これらアジアの諸言語の文字列操作・照合に対する配慮が十分でなく,提案されている諸システムも,安定的な運用をおこなうには不十分で,現に,現行のUnicode・ISO/IEC10646-1に基づく安定運用がおこなわれているシステムは見出し難い。 本プロジェクトでは,こうした現状を打開し,新たに,将来にわたっての安定運用が可能な国際的な提案をおこなうために,下記の4点について,現状の問題の明確化と,それに対する対案を提案するための基礎的研究をおこなう。 (1)情報交換での識別(identification)の概念の洗練と,それに基づく符号化文字集合にお ける文字・字体・字形の洗練 (2)アジアの複数の言語・表記系(例:タイ,カンボジア,ウルドゥー,ドラビダ,ペルシャ, デーバナーガリー,漢字)が共存する環境で,曖昧さなく運用可能な文字コード(符号化文字 集合)の策定,およびその運用方法の策定 (3)文字列データに対する基本的な操作(manipulation)の定義。即ち,文字列に対する基本 的な操作である文字検索,「一文字」の削除・追加などについての,実装方法を考慮した定義 (4)複数の言語・表記系が共存する環境での,文化的に正統な文字列の整列(sorting)・照合 (collation)の方法 (5)文字列出力(presentation forms) 平成11年度は,本プロジェクトが扱う問題の現状を,参加者それぞれの専門分野について,ネットワーク環境に力点をおいて調査し,それを非専門家にも理解できる形で文書化してネットワーク等で公開する。 池田証壽 太田昌孝 安岡孝一 20世紀の東南アジア史を概観するという時系列的な問題意識ではなく,東南アジアの歴史に「20世紀という時代」がもたらした思想状況上の変容を問題にし,それに基づいて東南アジア史の側から見た「20世紀」の総括を試みるものとする。 その際,以下に掲げる三つの小テーマを設定し,議論を深めることにする。 (1)経済思想 (2)国民国家形成をめぐる諸問題 (3)「前近代」の再解釈 東南アジアの歴史を扱うため,プロジェクト参加者は前近代史研究を含む歴史研究者を中心とするが,そのほかにも東南アジアをフィールドとし,かつ現地の言語と文化に通じている政治学者,経済学者,人類学者および文学研究者にも参加を要請する。 本年度(2000年度)は,これまで3年間計16回にわたる研究会での報告と討論をもとに成果の刊行を目指し,プロジェクトを終了させる予定である。 石井和子 内山史子 奥平龍二 川島 緑 菊池陽子 小泉順子 齋藤照子 嶋尾 稔 杉山晶子 鈴木恒之 土佐桂子 中野 聡 弘末雅士 古田元夫 村嶋英治 多言語共存環境における文字コードと照合(collation)系についての研究 (主査:豊島正之/所員6,共同研究員3)東南アジアにとって20世紀とは何か-20世紀東南アジアの思想状況 (主査:根本 敬/所員6,共同研究員15)
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