AA研要覧 2000
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15 近年における国際情勢の変化と学術交流の発展によって,われわれ歴史学研究者は東アジア各地域の文書館・図書館などに所蔵される一次資料に対し,以前とは比べられないほど容易に接近できるようになった。さらに,現地学界でも,あらたな歴史評価・研究動向がおこり,われわれの研究への刺激となっている。ただ対象とすべき史料の量があまりに膨大で,その実態を体系的に把握してはいない。 また,個別の研究が深化するとともに,より大きな視野のもとに,問題をとらえなおし,分析枠組みを再検討することも必要である。さらに海外学界との共同研究,史料調査も,双方にとって,より具体的で実りの多い形で推進しなければならない。 本プロジェクトでは,このような研究状況を念頭におきながら,18世紀から20世紀初頭の東アジア世界各地域における社会の変容が,外部世界とどのように有機的に連関していたかという問題を中心にすえ,文書史料によりそれがどこまであきらかにできるか検討する。東アジアに関する史料と研究情報の開かれたフォーラムをめざしている。 毎回テーマをかえながら,海外からのゲスト・スピーカーもまじえ,シンポジウム形式で研究会を開催し,また『東アジア史資料叢刊』などの出版物も刊行している。 赤嶺 守 石井 明 石濱裕美子 井上 治 井村哲郎 江夏由樹 岡 洋樹 尾形洋一 岡本隆司 小野和子 笠原十九司 加藤直人 岸本美緒 楠木賢道 佐々木揚 新免 康 坪井善明 寺山恭輔 中村 義 西村成雄 萩原 守 浜下武志 原 暉之 藤井昇三 細谷良夫 松重充浩 Mark Elliott 毛里和子 森川哲雄 森山茂徳 柳澤 明 本プロジェクトの目的は,アジア・アフリカの言語文化を中心とした情報をデータベース化するための研究と,それを利用して言語文化教育のためのCAI教材を開発することにある。 アジア・アフリカの言語の大部分は,「特殊な」言語と見なされ,極めて限られた学習の機会しかないのが現状である。また,その話されている地理的,文化的な環境を理解するには,言葉による説明よりも,写真や映像にしたものを見たほうが理解が早いものもたくさんある。そのためには画像,映像資料を収集,蓄積し,それを構造化して,いつでも利用可能なデータベースにしておかなければならない。また,それらを有機的に結合して,教育用のCAIソフトを開発するには,一定のノウハウ の蓄積が必要である。 本プロジェクトでは,アジア・アフリカ地域の言語と,その文化的環境を対象にして, (1)CAI開発の資料となる言語・文化情報資料のデータベース化の理論的研究 (2)実際のCAIのプラットフォームとなるハードウェア構成の検討 (3)現実に稼働しているCAI設備の見学,研究 (4)CAIシステムの製作とその発表,評価 (5)効果的なプレゼンテーション,ユーザーインターフェースの研究 をおこない,実用的な言語文化に関する自動化研修システムの製作と運用をめざす。 伊東照司 上田美紀 上村隆一 小川英文 加納千恵子 武井直紀 陳 文芷 寺 朱美 深尾百合子 山元啓史 言語文化データベースの研究とCAI開発 (主査:峰岸真琴/所員5,共同研究員10)東アジアの社会変容と国際環境 (主査:中見立夫/所員4,共同研究員31)

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