14 東アジアに共生する幾多の民族の言語は,多様性に富み,その長い歴史と相まって,多くの言語資料が集積されている。さらに,近年は,中国やロシアなどの開放政策により,文献資料や学術成果もつぎつぎに公にされつつある。 本プロジェクトは,朝鮮語,満州語,モンゴル語,エベンキ語,漢語,ウイグル語,チベット語,苗語,西夏語,白語などの言語研究者が現地調査での成果を報告し,それぞれの研究について,言語学のみならず,文化人類学,歴史学などの分野を含めた多角的かつ広域的視点から討論をおこないつつ,言語のダイナミックスを探ろうとするものである。 本年度は,目下構築中の西夏語に加えて契丹文字に関するデータベースを中心に研究を進める予定である。 伊藤英人 池田哲郎 鵜殿倫次 大江孝男 太田 斎 大瀧幸子 大塚秀明 菅野裕臣 岸田文隆 喜多田久仁彦 北村 甫 慶谷壽信 坂本恭章 佐々木猛 佐藤 進 佐藤晴彦 高田時雄 津曲敏郎 丁 鋒 富平美波 中川千枝子 西 義郎 花登正宏 樋口康一 藤本幸夫 星実千代 細谷良夫 前川捷三 村上嘉英 本プロジェクトは,他者との出会いを提示し,他者の言表と他者世界が表象するものを解釈し,他者文化の持つ多様な意味を構成する旅のディスクールを主要な対象とする。その際,他者言説を生むコンテクストや,他者の自己(自己文化)との距離・差異の構築や,他者表象が持つ価値評価などが問題となると思われる。他者が直接的に語られるという前提への疑問と,他者表象のバイアスと他者についてのディスクールそれ自体が充分に見つめられなかったことへの反省として,近年欧米で飛躍的に研究が進められている旅行記研究に対応して,ここでは,近代ヨーロッパ(ルネサンス以降)の旅のテクストとそのほかの文化の旅のテクストを取り上げるとともに,他者についての多種多様な表象形態や,それに関連した諸理念(例えば,秩序,正義,正統,コスモス)の表象化についても研究の対象とする。従って,本プロジェクトでは,旅論・表象論・他者論とそれらの交差する領域が取り扱われることとなる。このような比較研究によって,エクリチュールを有する文化による,他者と他者のいる場所と時間の配置・配列が明らかにされ,またその文化と他者との関係性(例えば,理想,調和,幻想,混乱,絶望,排除)を提示するディスクールが明らかにされるものと期待される。またさらには,他者に対比された自己(自己文化)のアイデンティティの提示の実体や,文化の普遍性や近代というディスクールについても考察されることが期待される。 浅井雅志 荒木正純 彌永信美 重松伸司 田中純男 難波美和子 西尾哲夫 原 毅彦 渡辺公三 一般共同研究プロジェクト言語文化接触に関する研究 (主査:中嶋幹起/所員5,共同研究員29)旅と表象の比較研究 (主査:高知尾 仁/所員5,共同研究員9)
元のページ ../index.html#16