9情報資源利用研究センター 1. 設置目的 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所附属情報資源利用研究センター(Information Resources Center / TUFS, 略称 irc-TUFS)は,アジア・アフリカの言語文化に関する情報資源の蓄積・加工・公開と,それを活用した共同研究手法の開発,国際学術交流の推進を目的として,10年の時限で,平成9(1997)年度に設置されたものです。 2. 研究所とセンター 本研究所は,従来から,アジア・アフリカの諸言語のデータをコンピュータ入力し,それぞれの言語の音韻論的・統語論的・語彙論分析をおこなうとともに,歴史学的・民族学的・社会学的研究等,多目的な用途に供するデータベースの充実を図ってきました。このデータベースは,本研究所の最も重要な事業のひとつである,アジア・アフリカの諸言語の辞典・文典の編纂の基礎資料を提供し,かつ全国の研究者の共同利用に供されています。言語データとしては,ベンガル語,中国語,朝鮮語,ハウサ語,フラ語,ヨルバ語,ヒンディー語,クメール語,アラビア語,ペルシア語,スワヒリ語,タイ語,チベット語,満洲語等が蓄積されつつあり,これと並行して,デーヴァナーガリー,ビルマ,ベンガル,タイ,クメール,チベット,アラビア,ハングル,モンゴル,西夏などのプリントアウト用文字フォントが作成され,利用に供されてきました。 3. 10年の活動 センターは,上記のようなこれまでの研究所の活動を基礎に,10年間で,下記の点で,理論・技術の整備・洗練をおこなうことをめざしています。 (a) アジア・アフリカの言語文化に関するコンテンツ公開の場として 所内には,上記のような言語データだけでなく,アジア・アフリカの言語文化に関する多様な資 料(パンフレット,ポスター,フィルム,8ミリ,ビデオ,録音テープ等)が豊富に所蔵されてい ます。このデータの所内・所外での利用は必ずしも容易ではなく,公開に向けた整備が緊要です。 (b) 国際的共同研究の場として データベースを国際的に公開・共有し,それに基づく研究支援の環境をつくり,国際的共同研究 の効率化と内容の充実を図ることをめざしています。 (c) コンテンツ蓄積・交換に関する基礎理論の整備母体として 通時的文字論を考慮した文字コード(符号化文字集合)論,多言語処理論,多表記系(スクリプト) の照合(collation)・整形・組版基礎理論等,従来,理論的な整備がほとんどない分野を理論化 することは急務といえます。また,多表記系(スクリプト)混在でのinput methods,整形・組版 結果の交換プロトコル等,まだ仕様自体が不安定な分野の仕様の洗練,さらには,画像・動画・ 音声抽象検索などのマルチメディア系でのinput methodsとインタフェースにも,今後積極的に 関与していく予定です。
元のページ ../index.html#11