4.デジタル言語文化館センターの研究活動の成果は,世界に向けて開かれていなければ無意味です。このため,センターは,「デジタル言語文化館」を構想しています。「デジタル言語文化館」は,当面はwww(HTTP)で訪問・利用できる形で提供されますが,媒体には拘束されません。「デジタル言語文化館」は,単なるコンテンツの羅列ではなく,その加工技術・呈示技術とその背景の理論化自体もコンテンツとなる点が特徴であり,蒐集展示と,蒐集資料・技術の工具利用の両方がおこなえるところが,従来のデジタルライブラリ(電子図書館)発想を包含しつつ,それを越える点です。5.技術と研究の相互発展センターは,望まれる技術の要求仕様を策定するのであって,技術自体を開発する場ではありません。望まれる技術とは,新しい技術の呈示によって技術への需要自体を呼びおこし,その結果,新たな研究工具を提供することで研究開拓のきっかけとなるような技術であり,すなわち,今は「技術的制約によって無理」と諦められ,研究分野自体が研究として認識されていないものを,明らかにするような技術を指します。研究者の主体的発想による技術仕様の策定は,本センターのように,言語・歴史・民族・情報の各分野の専門研究者を擁し,技術と研究の相互刺戟を主眼として研究を進める専門機関によって,はじめて生れ得る成果と言えましょう。27◆リキール寺の壁画インド最北端に位置し,チベット文化圏の最西端にあたるラダックには,こんな楽しい壁画のある寺がある。よく見ると壁画の絵の一つ一つから点線が出ていて,その先にはきれいなチベット文字で細々と説明が書かれている。絵で見る辞典という趣だ。(インド,ジャンムー・カシミール州,ラダックにて。1998年8月撮影。星泉)
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