酒井啓子佐藤規子鈴木 均高岡 豊富田健次中田 考中西久枝八尾師誠松本 弘三木 亘人類史的な観点からみると,人は常に移動と接触を繰り返すことによって,集団の離合集散を繰り返してきた。現に存在する「民族」なども,そのような離合集散の産物といえよう。人の移動は,領域と境界を生命線とする近代の国家体制下では,必然的に制限が加えられる。しかし,今日,部分的には資本主義の無境界的浸透とも対応する形で,人の移動は活性化し,国家の枠組みすら脅かしている。このプロジェクトでは,現代における人の移動を文化,とりわけ集団意識の生成・変成過程に注目して,研究を進める。このプロジェクトでは,広い分野,地域を対象として問題領域の設定を試みた重点共同研究プロジェクト『東南アジアにおける人の移動と文化の創造』(1996-1998)の成果を踏まえ,より詳細に個別具体的な研究を実施する。主たる対象とされる地域であるマレーシアのサバ州は,インドネシア及びフィリピンとの間で人の移動が激しく,集団の構成,意識,生活世界の構築,といった諸側面で,様々な方向性や動きがみられる。このプロジェクトでは,現地調査と並行して研究会を開催し人の移動を文化的側面から解明する。石川 登伊藤 眞上杉富之清水 展富沢寿勇山下晋司目的:18世紀に始まった近代活版印刷で用いられてきた漢字字体の変遷を分析することによって,次の点を明らかにする事をめざす。いわゆる康煕字典体慣用字体明朝体の基本設計また,この研究を通じて,新JISコードの代表的字体の決定に学問的根拠を与えるとともに,国語審議会での問題となっている漢字字体問題の学問的根拠にも寄与することをめざす。研究方法:康煕字典及び18世紀以降の活字総数見本帖を収集し,一字毎に字体対照データベースを作成し,このデータベースの検討を通じて,上記の研究目的を達成する。成果物:研究成果物は,新JIS漢字コードの代表字体に活かすとともに,JIS X 0208の将来の改正で用いることのできる代表字体の決定の基礎資料とする。個別字体検討資料は,各社での字体設計の基礎資料として用いることができる資料の作成をめざす。また,国語審議会で検討されている表外字の字体検討に対しても,学問的基礎を与えることをめざす。最終的な報告は,単行本として刊行することも予定する。活字字体史研究(主査:芝野耕司/所員2,共同研究員11)東南アジア島嶼部における人の移動(主査:宮崎恒二/所員3,共同研究員6)23
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