AA研要覧 1999
23/39

この共同研究の目的は,歴史的脈絡でのイラン,すなわち〈大イラン(the greater Iran)〉という枠組みのなかで,〈イラン的要素〉とは何かについて,言語・歴史・文化・思想などの総合的な視野のなかで問いかけを試みることにある。具体的な研究方法としては,イスラム世界におけるイラン世界の位置付け,イラン世界と他世界(例えばトルコ・クルド・アラブ・インドなど)との相互関連や差異を考察することによって,イラン的要素の全体像を浮き彫りにしていく。その結果として,われわれが漠然と抱いていたイラン・イメージについて,その言語・文化・社会の特質や問題を改めて問い直し,イスラム研究に新たな方向を見出したいと考えている。第一年度目と第二年度は,基本的な問題の設定,各々の共同研究員による事例研究を通して,イラン的要素に関する特質や問題を発見していきたい。特に,第二年度における研究課題として,イスラム以前におけるイラン的要素とイスラム以後のイラン的要素の比較,シーアとイラン的要素との関わりなどについて考察する。今澤浩二小名康之川瀬豊子北川誠一近藤信彰坂本 勉清水和裕寺島憲治縄田鉄男間野英二山内和也山口昭彦吉田 豊本プロジェクトにおいては,独立後のアフリカ諸国,特に現代において国家と宗教がどのように協調,相克しているのかを記述,分析し,アフリカ各国の将来を展望することを主眼とする。アフリカ諸国において,伝統宗教,イスラム教,キリスト教は人々の糾合にどのような役割を果たしてきたのか,あるいは果たしていないのか。それらの宗教は新生国家において国民統合に役割を果たしたのか,あるいは国家機構の横暴を牽制する役割に終始しているのか。ひとつの国家のなかでイスラム教徒,キリスト教徒など異なった宗教信奉者が対立することで,国民統合に宗教が阻害要因になっていることはないか。国家の内実が問われ,民主化の実現が急務になっている現在,諸宗教にはどのような機能を果たすことが要請されているのだろうか。原理的に言えば,本来,国家のめざすところと,宗教のめざすところとは相矛盾するものである。でありながら,ヨーロッパ諸国,そして日本においても国家と宗教は相互に依存しあうことが歴史的に多かった。アフリカ諸国の国家と宗教の現状を検討し,将来的な動きをも予測する研究をおこないたい。遠藤 貢小田 亮落合雄彦勝俣 誠栗本英世小馬 徹嶋田義仁竹沢尚一郎津田みわ松田素二吉田憲司和崎春日独立後アフリカ諸国における国家と宗教(主査:小川 了/所員4,共同研究員12)歴史的イラン世界に関する研究(主査:家島彦一/所員4,共同研究員13)21

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る