基本的文献資料の解読出版今年度は特に,海外調査の成果に基づく研究発表,及び,シャン語の歴史的文献の解読研究の二点に重点を置いて研究を進める。飯島明子石井米雄宇佐美洋加藤昌彦加藤久美子加藤高志鈴木玲子横山廣子園江 満現在の西南中国は,もともと非漢族の居住地域であり,中国歴代王朝の支配下に少しずつ組み込まれていく歴史をもつ地域である。元明清を通じて,漢民族移民の増大と歴代王朝の統治政策によって,多くの非漢族が中央政府に直接支配されるようになり,そのことによって民族移動が激しくなり,非漢族の土着社会に大きな変容がおこり,東南アジア大陸部へ移住する非漢族も出現した。だが,従来この歴史過程を総合的に分析する研究は僅少であった。本プロジェクトの目的は,西南中国非漢族の歴史に関する研究発表,史(資)料の発掘・収集・整理をおこなうことによって,従来注目されることのなかったこの地域の歴史に対する研究を促進することにある。なお,方法論として非漢族を主体とした分析視点を重視すると同時に,歴史学者以外に文化人類学,民族学,民俗学,言語学などの専門家の参加によって学際的なアプローチの構築をめざす。なお,本研究所の「歴史・民族叢書」では,『雲南少数民族伝統生産工具図録』及び『四川の考古と民俗』を刊行している。井上 徹上田 信上西泰之菊池秀明岸本美緒末成道男武内房司多田狷介谷口房男張士陽塚田誠之寺田浩明林謙一郎吉野 晃渡辺佳成渡部 武西南中国非漢族の歴史に関する総合的研究(主査:クリスチャン・ダニエルス/所員4,共同研究員16)13◆マカオのたたずまい植民地マカオの市政庁の建物,またその前の広場附近は,確かにポルトガル風に見える。しかし,そこからちょっと小路に入ると,もう庶民の生活空間になる。華南でよく目にする風景と,ほとんど変わらない。(ポルトガル領澳門。1998年11月3日。吉澤誠一郎)
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