FIELD PLUS No.9
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3Field+ 2013 01 no.9責任編集 増田 研d Methods生まれること、老いること、病むこと、そして死ぬこと。仏教が教えるところの「四つの苦しみ」は、人が生きることそのものである。人が生きることそのものが苦しみに満ちているのだ。では、生老病死は測れるか? と問うてみよう。ある人は「測れる」と答え、別の人は「測れない、いや、測りにくい」と答えるだろう。測れるのは、ある程度数量化できるからだ。私たちが「モノサシで測る」ように、それを数字で表現できれば「測れる」ということになる。社会開発の分野では生老病死を測れることが前提である。たとえば国連ミレニアム開発目標には「2015年までに乳幼児死亡率を3分の2減少させる」「マラリアの発生率を下げる」といったターゲットが設定されている。そう、数値で測れなければ戦略も立てられない。しかし、生老病死には数量化できない部分がどうしても残る。生きることは苦しみであると同時に、喜びでもある。その苦しみと喜びをしっかりと受け止めるフィールドワークを、私たちはどのようにして進められるだろうか。アジアとアフリカで、人の生老病死を追いかける研究者の軌跡をたどってみよう。 この特集は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題「社会開発分野におけるフィールドワークの技術的融合を目指して」との共同企画として組まれました。

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