32 32Field+ 2013 01 no.9石田 健(いしだ けん)1957年生/東京大学大学院/森林生態系学主要業績:Black Bear Population at the Mountain Road Construction Area in Chichibu, Central Japan(『東京大学農学部演習林報告』第105号、91-100頁、2001年)●ひとこと:ほんねは、コゲラ三昧の研究をしてみたい。日本各地にも、すばらしい自然、野生生物、人の暮らしとの出会いがあり、フィールドワークの興奮は尽きない。野外録音は当分続けるつもり。自分の自然音アーカイブも造りたい。大島 一(おおしま はじめ)1972年生/AA研研究機関研究員/言語学主要業績:『ハンガリー語のしくみ』(白水社、2009年)●ひとこと:今後は中央と地方という社会的要因も考慮に入れて、オーストリア・ブルゲンラント州のハンガリー語話者の言語社会的問題はもとより、彼らの心理的問題も探ってみたいと考えています。織田雪世(おだ ゆきよ)1977年生/元・国際協力機構ガーナ事務所企画調査員/地域研究、アフリカ女性の髪、援助協調主要業績:『髪を装う女性たち――ガーナ都市部における女性の経済活動』(松香堂、2011年)●ひとこと:装いは国内外のファッション、社会経済や業界の動向、そして女性の生活や生き方と深く関わり続けています。こうした視点を持ち、フィールドを楽しみながら、アフリカ各地の髪の装いを見ていきたいと思います。川瀬 慈(かわせ いつし)1977年生/国立民族学博物館/映像人類学主要業績:『Room 11, Ethiopia Hotel』(英国王立人類学協会民族誌映画 DVD、2009年)●ひとこと:最新作はエチオピアのザール憑依儀礼に関する『精霊の馬/When Spirits Ride Their Horses』です。大阪でAnthro-lm Laboratoryという上映セミナーを定期的に開催し、いろんな分野の研究者や映像作家と交流しています。日下部尚徳(くさかべ なおのり)1980年生/文京学院大学/バングラデシュ地域研究、国際協力論、災害社会学主要業績:「バングラデシュの貧困課題と諸政策」(宇佐見耕一・小谷眞男・後藤玲子・原島博編『世界の社会福祉年鑑』旬報社、44-61頁、2011年)●ひとこと:めざましい経済成長を遂げるバングラデシュという国と、多発する災害や減らない貧困に苦しむバングラデシュの人びと。どの視点から切り取るかによって見え方が大きく異なってくるバングラデシュの「今」を伝えることの難しさを感じています。小森次郎(こもり じろう)1969年生/帝京平成大学/自然災害学主要業績:「雪氷圏における災害とこれからの問題」(遠藤邦彦・山川修治・藁谷哲也編『極圏・雪氷圏と地球環境』二宮書店、128-144頁、2010年)●ひとこと:自然が、特に山がどのようにできて、今後どうなっていくのか興味があります。そして、そこに共存する人間がどのように山と接していくべきか、海外も含め自分なりに考え、その答えを社会に発信したいと思っています。佐藤剛裕(さとう ごうゆう)1973年生/明治大学野生の科学研究所研究員/文化人類学、チベット・ヒマラヤ研究主要業績:「ダライ・ラマの慈悲とチベットの大地母神」(『サンガジャパン』第6号、123-133頁、2011年)●ひとこと:フィールドワークを始めてから年を経る毎に、チベットやヒマラヤがグローバリズムの波にのまれて古き良き精神文化の継承が困難になっていくのを目の当たりにします。自分の研究が少しでも伝統の保存や記録の役に立てばうれしいと思っています。佐藤廉也(さとう れんや)1967年生/九州大学、AA研共同研究員/地理学、人類学主要業績:『アフリカI(朝倉世界地理講座:大地と人間の物語11)』(池谷和信・武内進一と共編著、朝倉書店、2007年)●ひとこと:エチオピアの森での研究と並行して、中国では黄土高原で農村調査を続けています。湿潤熱帯と半乾燥地という対照的な2つの場所で、人間の文化的な適応力の大きさを実感しています。 杉田映理(すぎた えり)1967年生/東洋大学、AA研共同研究員/開発人類学主要業績:「エミックな視点から見えるトイレの問題――現地社会の内側からの理解とは」(佐藤寛・藤掛洋子編『開発援助と人類学――冷戦・蜜月・パートナーシップ』明石書店、106-127頁、2011年)●ひとこと:開発援助の支援と研究の両方に足をつっこんでいます。生活に密接に絡む水利用や衛生(トイレ)の話に関心がありますが、これはまさに文化人類学の対象であると共に、開発課題でもあります。研究と実践をうまく繋げていきたいです。錦田愛子(にしきだ あいこ)1977年生/AA研/中東地域研究主要業績:『ディアスポラのパレスチナ人』(有信堂、2010年)●ひとこと:いくつかのフィールドでの調査を並行させながら、着実な研究と、社会的な貢献を結びつける形を模索していきたい、と思っています。野村亜由美(のむら あゆみ)甲南女子大学、AA研共同研究員/医療人類学、国際看護、基礎看護学主要業績: Ayumi Nomura et al.“Post-Traumatic Stress Disorder Among Senior Victims of Tsunami-Aected Areas in Southern Sri Lanka”(Acta Medica Nagasakiensia, vol.55, pp. 41-46, 2010)●ひとこと:高齢者の認知症の研究をしています。2006年からスリランカ、昨年はドミニカ共和国にも足を延ばして調査を始めました。お年寄りが大好きなので、彼らのいる所どこへでも出かけて話を聴かせてもらいたいと思っています。ペータース・グリーテンス、クン(Peeters Grietens, Koen)1970年生/パス・インターナショナル、アントワープ熱帯医学研究所/社会人類学主要業績:Koen Peeters Grietens et al.“Social Deter-minants of Long Lasting Insecticidal Hammock-Use Among the Ra-Glai Ethnic Minority in Vietnam: Implications for Forest Malaria Control”(PLoS ONE, 7(1), 2012: e29991. doi:10.1371/journal.pone.0029991)●ひとこと:パス・インターナショナル(PASS International)は、国際保健のプロジェクトのために社会科学的な調査を行うNGOです。アジアやアフリカでの国際保健の現場に社会科学の方法でデータと分析を提供しています。増田 研(ますだ けん)1968年生/長崎大学、AA研共同研究員/社会人類学主要業績:「国際保健分野における文化人類学的アプローチ――ローカルとグローバルの接合地点で調停役を買ってでる」(『日本公衆衛生雑誌』第59巻第3号、189-192頁、2010年)●ひとこと:民族誌的アプローチをどのように開発の現場に生かせるのか、対話を通じて考察を深めようとしています。この「生老病死を測れるか」特集は、そのためのステップです。宮地歌織(みやち かおり)1972年生/佐賀大学男女共同参画推進室、AA研共同研究員/開発人類学主要業績:「ケニア・グシイ社会における『女子割礼』をめぐる現代的諸相」(『社会人類学年報』第30号、121-144頁、2004年)●ひとこと:安全で安心してお産ができる社会づくりのために、日本国内外で研究ならびに実践に関ってきました。今後もリプロダクティブ・ヘルス推進のためにチャレンジしていきたいと思っています。 若狭基道(わかさ もとみち)1970年生/明星大学等非常勤講師、AA研共同研究員/言語学(アフロアジア諸語)主要業績:A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language(博士論文/東京大学、2008年)●ひとこと:最近は便利な「アムハラ語屋」だと思われていますが、専門のアフロアジア言語学でも自分なりの貢献をして行きたいと思います。本誌コピーは勿論、文中で取り上げたD君に送ります。 PROFILE■巻頭特集「生老病死は測れるか?」補遺共同研究「社会開発分野におけるフィールドワークの技術的融合を目指して」のメンバーも執筆している2冊の本は、本号の特集「生老病死は測れるか?」の内容をより詳しく学びたい人にオススメです。『支援のフィールドワーク――開発と福祉の現場から』小國和子・亀井伸孝・飯嶋秀治編、世界思想社、2011年。『開発援助と人類学――冷戦・蜜月・パートナーシップ』佐藤寛・藤掛洋子編、明石書店、2011年。
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