27Field+ 2010 07 no.4り登録していません。地理学の若手研究者はすでに現地研究者とコネクションのある指導教官についていって1ヶ月ぐらいの調査を行うのが一般的だから、他分野の研究者とつながろうというモチベーションが低いのではないかと思います。【石森】地形というものを媒介とする共同研究は大きな可能性を秘めているような気がします。僕が係わっているプロジェクトでも、海岸工学や地形の専門家が中心にいて、いくつもの分野の研究者を統合しています。【福井】それはすごく理想的な形態ですね。海外との連携【椎野】海外の研究者との連携をどうするのかというのは、当初からの問題でした。【佐藤】アフリカの研究者から見て、日本にはこんな研究者がいるのだということが分かって、アフリカの研究者からもアクセスできるというのが理想ですよね。【石森】地域の中で一番大きな大学に研究者のネットワークはすでにあるところもあり、そういうところにハブとしてやっていただけると理想ですけれども。【椎野】提携を実現させなきゃ。英語での対応が第一、そして管理者と連絡を取ってイベントの情報を知らせてもらうとか、そういう提携の仕方から始めることかな。システムの改良【椎野】MediaWikiを使った現在のFieldnetのシステムについてどう思いますか?【石森】登録してもらっても「あれ? 何かこれ、ややこしいな、もういいや」と思われたら終わりなので、システムはもう少し使いやすい方がいいですね。【澤柿】システムを管理していると、ユーザーが希望していることからどうしても離れていってしまいます。でも適切な形でフィードバックをもらえればこちらも対応できるし、そうしたやり取りをFieldnetでうまくできないかなと思っています。研究の融合の場として【的場】将来は理系の中の分野を越えた出会いの場にもなるといいなと思っています。理系の中でも横のつながりはそれほどないし、Fieldnetが大きくなると文理融合の前に理理融合という点で非常に大きな意味を持つだろうと思っています。【椎野】そうなると素晴らしいですね。私は文系なので、理系の方がなにを求めているのかわからない。だからどんどん意見を寄せてもらって、こちらはFieldentという場やネットワークをつくってお手伝いする、一緒につくりあげる、あるいは登録者同士で活動を生んでいってくれる……というのが理想ですね。共同研究の出会いの場として【石森】Fieldnetで知り合った人の中で実際に調査に行って、「Fieldnetで私たちは知り合って、こういう調査をして、こういう結果が出ました」みたいな成果を報告したいですね。「こんなことをFieldnetでやった人もいるのだ。私たちもできるかな」と思ってそうした共同研究を試みる参加者がでてくるでしょうし、Fieldnetへの参加者も増えるでしょう。【椎野】いつの間にか予定時間を過ぎてしまいました。今日はみなさんありがとうございました。石森大知小西公大佐藤靖明当日参加していただけなかったFieldnet構築委員の方々の声です。 【古澤拓郎】何らかの共通項をもって、分野や所属を越えた研究者が集まる、ヴァーチャルなネットワーク型組織は、時代の変化や、その時々の事業におうじて、柔軟に対応することができます。フィールドワークを共通項にするFieldnetは、研究としてのつながりだけでなく、フィールドでの苦労や喜びという、自分の人生にとっても貴重な体験をわかり合える、心のつながりも持ちやすいのではないかと思います。新しい組織形態のさきがけの一つとして、Fieldnetがこれからの学術研究の核になっていくことを期待しています。【大西健夫】Fieldnetに参加させていただき、新鮮な刺激を受け、多くのすばらしい人達に出会うことができました。フィールドに出かけて未知の自然、文化を体験することは、地球をフィールドとする多くの学問分野に共通の出発点です。このすばらしい集まりを、より広範囲の学問分野を横断的につなげていく場にすることができればいいなと考えています。私もそのための活動に参加させていただけることを嬉しく思っています。
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