26Field+ 2010 07 no.4Fieldnet座談会 2010年4月24日AA研にて 真剣に、でも楽しくFieldnetを創りあげてきた構築委員の方々にお集まりいただき、熱い思いを語りあいました。その様子をお伝えします。(まとめ:石川博樹・AA研、撮影:小林宏和) Fieldnetへの参加の動機【椎野】今日はみなさんにFieldnetへの思いと展望を語っていただきたいなと思って集まっていただきました。よろしくお願いします。まずは参加の動機についてうかがいましょう。【佐藤】Fieldnetに加わりたいと思ったきっかけは3つあって、1つめは僕が研究しているアフリカのバナナについては、アフリカ研究者のネットワークがすごくて、日本にも同じようなネットワークがあったらいいなと思っていたことです。僕が調査しているウガンダやルワンダについては日本では情報が入手しにくいので、まず知り合いを増やしたいというのが2つめです。それから研究者以外の人とも交流できるようなきっかけがあればいいなというのも動機でしたね。【石森】僕は文化人類学をやってますが、他分野の方々と一緒に共同研究をする機会に恵まれてきました。でも、それらはすべて先生がどかんと金を取ってやるようなプロジェクトなんですよ。そうではなく自然発生的に文理融合型の試みがあったら面白いし、もっと自由な発想が出てくるだろうなと思って参加させていただきました。また、調査許可証の取得方法など、調査に関する情報を共有できれば役に立つし、ありがたいなと思ったということですかね。【小西】僕はデリーに2年ぐらい留学していたんですが、インドに沢山いるであろう日本人研究者は誰がどこにいて何をやっているのか分からなかったんです。インド研究者とどうつながれるのかを考えていて、Fieldnetに参加しました。Fieldnetの広がり【椎野】Fieldnetの参加者は順調に増えていて、現在約300名になりました。ワークショップへの参加者も増えています。はじめに、Fieldnetの立ち上げに携わっていただき、現在は日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターに駐在員としてお勤めの駒澤さんからお聞きします。今日は一時帰国中のため参加していただけることになりました。【駒澤】ナイロビからFieldnetの活動を見ていますが、あるべき方向に来たのではないかと思います。こういうものは簡単に広がるわけがないので。厳しいことはいくらでも言えますけれども、それをどう解決していくかというのは非常に難しい。地道な努力を続けていくしかないでしょう。【椎野】そうですね。構築委員を中心に、また地道にナイロビでも広めていただいたおかげで研究者の間で認知されるようになった気がします。【小西】僕なんか、最近初対面の人に「ああ、小西さんですよね、Fieldnetで見ました」と言われることが増えてきました。【石森】本当?【小西】僕は自分のホームページのようなものが何もないので、情報を知るにはFieldnetが一番いいんですよ。【今堀】私は大学で「先生、こうでしたよね」と学生に聞かれました。その情報はどこで出したかというと、Fieldnetなのですよ。【石森】学会で誘い方を変えようかな。「えっ、入ってないの?」と(笑)。Fieldnetの長所【椎野】これまで活動を続けてみて、Fieldnetの良いところって何だと思っていますか?【小西】サイト情報を見て終わってしまうものではなく、合宿や今日のMediaWiki講座のようなイベントを継続的にやってその場で実際に研究者同士が会って何かを共有するのが、Fieldnetの一番面白いところで、そこに意味を感じますね。【澤柿】Fieldnetに参加させてもらうようになってから、考え方も違うし手法も違うけれども、他分野の人たちも研究に傾けている情熱は一緒だなと分かって、それは自分にとってはすごく収穫でしたね。【今堀】Fieldnetの地域情報はアメリカとか一般にメディアで最も情報の多い所は最も少なくて、逆に最も書き込みが多いのがウガンダだったり(笑)。「普通」ではない世界観を提供しているというのは特色だと思います。【石森】今、明石書店で『南太平洋を知るための58章』という本を作っているのですけれども、Fieldnetは南太平洋を広くカバーしているので、執筆者探しに役立ちました。Fieldnetの課題と今後の展望参加者の偏り【椎野】Fieldnetを運営してきていろいろと課題も見えてきました。【今堀】まずは参加者の偏りだと思います。基本的に理系は雪氷関係(笑)、文系は人類学関係なんです。【石森】理系イコール雪氷なんだ(笑)。【的場】地域情報が書いてあるのもみんな氷河のある国ばかりだもの。【石森】東南アジアの登録者は本当に少ないんですよ。【福井】地理学も基本的にフィールドワークが主体なんですけれども、地理屋はFieldnetにあま椎野若菜駒澤大佐的場澄人今堀恵美澤柿教伸福井幸太郎AA研5階フィールドサイエンス研究企画センター前のコーヒーラウンジにて。いつも、みな集まると話はとまりません。会合も休みなしで、平気でお昼から夜7時すぎまでやることも……会合のテーブルにはいつも、フィールド帰りの人は土地のお土産、北海道、富山、長崎、大阪、とそれぞれの場所からのお土産も欠かせません。 http://eldnet.aacore.jp
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