フィールドプラス no.29
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28海老原志穂(えびはら しほ)1979年生/日本学術振興会特別研究員RPD (AA研)、AA研共同研究員/言語学主要業績:『チベット幻想奇譚』(星泉・三浦順子・海老原志穂編訳、春陽堂書店、2022年)●ひとこと:味の素食の文化センターの研究助成を受け、チベット牧畜民の食文化の記録を進めています。レシピの一部はcookpadで公開しています (https://nomadic.aa-ken.jp/special/tibetan_food/)。太田(塚田)絵里奈(おおた(つかだ)えりな)1982年生/AA研特任助教/前近代アラブ・イスラーム史主要業績:“Formation of the Ideal Bureaucrat Image and Patronage in the Late Mamlūk Period:Zayn al-Dīn Ibn Muzhir and ʻUlamāʼ”(Al-Madaniyya, 1, 41-61, 2021)●ひとこと:11年ぶりに留学時代に暮らしていたカイロの家を訪れました。大都市郊外を中心とするエジプトの著しい発展と大改造を目の当たりにしつつも、ヌーサがコーチを務める柔道クラブで子供たちと保護者にもみくちゃにされ、やはりここはエジプトだとほっとしました。小塩さとみ(おしお さとみ)1966年生/宮城教育大学、AA研共同研究員/音楽学主要業績:「伝統芸能の伝承──個人にとっての芸の伝承」(増野亜子編『民族音楽学12の視点』音楽之友社、62-71頁、2016年)●ひとこと:日本の伝統音楽が現代社会でどう受け継がれているかを研究しています。コロナ状況下の芸能研究に関しては、伝統音楽に限定せずに、学校における音楽活動や地方都市の音楽状況にも注目して研究を行っています。神野知恵(かみの ちえ)1985年生/国立民族学博物館人文知コミュニケーター・特任助教、AA研共同研究員/民族音楽学主要業績:『韓国農楽と羅錦秋──女流名人の人生と近現代農楽史』(風響社、2016年)●ひとこと:日韓の専業芸能者による門付け芸能の比較を行っており、2021年にみんぱく映像民族誌「それでも獅子は旅を続ける〜山本源太夫社中 伊勢大神楽日誌〜」を制作した。栗原浩英(くりはら ひろひで)1957年生/AA研/ベトナム現代史主要業績:『コミンテルン・システムとインドシナ共産党』(東京大学出版会、2005年)●ひとこと:経済的にも軍事的にも強大な国と近接した相対的小国が尊厳を失うことなく存続することはいかにして可能なのか、1950年代以降のベトナムと中国の関係から考察していきたい。竹村嘉晃(たけむら よしあき)1971年生/人間文化研究機構人間文化創発センター研究員、国立民族学博物館グローバル地域研究プログラム総括班事務局特任助教、AA研共同研究員/芸能人類学、南アジア地域研究主要業績:『神霊を生きること、その世界──インド・ケーララ社会における「不可触民」の芸能民族誌』(風響社、2015年)●ひとこと:シンガポールにおけるインド芸能の発展と芸術文化政策の結びつきについて調べています。COVID-19のパンデミック後、2年8ヶ月ぶりにフィールドに戻って、移り変わるインド芸能のシーンと、久しぶりの生の芸能鑑賞を堪能してきたところです。長嶺亮子(ながみね りょうこ)1976年生/沖縄県立芸術大学芸術文化研究所共同研究員、AA研共同研究員/民族音楽学主要業績:「祈る、奏でる、歌う、再生する──信仰と音声再生機」(『季刊民族学』第182号、84-91頁、2022年)●ひとこと:近年は主に台湾の漢族系伝統音楽と社会の関わりについて研究しています。現地の友人兼インフォーマントが送ってくれたお菓子を口にしながら、調査地で受ける五感への刺激と雑談の大切さを再認識するコロナ時代です。南波聖太郎(なんば せいたろう)1985年生/日本貿易振興機構アジア経済研究所/ラオス現代史主要業績:「ラオスにおける社会主義と中立主義の相克──デタント期社会主義陣営の最辺境における解放区の多元的展開(1945-1975)」(東京外国語大学博士論文、2020年)●ひとこと:ラオスは現在も社会主義の看板を掲げる数少ない国の1つです。ヨーロッパで形成された社会主義の思想や制度は、ラオスでどう受容され、変化したのか。その実証的解明により、大国の陰に埋もれがちなラオスの主体的な歴史を描きたいと考えています。藤井真一(ふじい しんいち)1981年生/国立民族学博物館外来研究員/文化人類学、オセアニア地域研究主要業績:『生成される平和の民族誌──ソロモン諸島における「民族紛争」と日常性』(大阪大学出版会、2021年)●ひとこと:フィールドワークをしているときは、自分の体を実験台にしながら、どこまで現地の人びとと同化できるかを意識しています。古本 真(ふるもと まこと)1986年生/AA研ジュニア・フェロー、AA研共同研究員/スワヒリ語方言記述、フィールド言語学、バントゥ諸語主要業績:Makoto Furumoto, Hannah Gibson“Variation in Kimakunduchi and Standard Swahili: Insights from verbal morphosyntax”(Linguistique et langues africaines[Online]8(1). URL: http://journals.openedition.org/lla/1994; DOI: https://doi.org/10.4000/lla.1994)●ひとこと:スワヒリ語はバントゥというグループに分類される言語の一つである。ザンジバルのマクンドゥチやトゥンバトゥ島で話されるスワヒリ語の方言とほかのバントゥ系言語の歴史的関係に、いまは関心がある。本田直美(ほんだ なおみ)1991年生/AA研研究機関研究員/服飾学主要業績:『Bording location5』(海岸通ギャラリー・CASOにおける展示、2014年)●ひとこと:誰にとっても普遍的なデザインとは何かを考えながら、自然と調和するような衣服やプロダクトを制作して行きたいと思っています。最近はメダカの針子のためにゾウリムシを育てながら小さき生物の世界を楽しんでいます。松山 啓(まつやま けい)1993年生/AA研ジュニア・フェロー/文化人類学主要業績:「大相撲における権力構造と力士の戦略実践に関する人類学的研究」(博士(文学)学位論文、筑波大学、 2021年)●ひとこと:最近は八百長相撲の事例から、日常倫理の問題を考えています。吉田ゆか子(よしだ ゆかこ)1976年生/AA研/文化人類学主要業績:『バリ島仮面舞踊劇の人類学──人とモノの織りなす芸能』(風響社、2016年)●ひとこと:インドネシアへは毎年芸能の調査で通っていたものの、コロナ以来渡航が叶わぬ日々が続きました。今年度になりやっと調査に出ることができました。現地では、再び会えたことの喜び、芸能を観たり演じたりできる幸せを感じ、またこの間失った友人や師匠たちのことを想いました。『音楽の危機──《第九》が歌えなくなった日』  岡田暁生著、中央公論新社、2020年。コロナ状況が音楽に与えた様々な影響から、音楽とは何か、音楽の未来とはいかなるものかを考える。第20回小林秀雄賞受賞作。『ロスト・イン・パンデミック ──失われた演劇と新たな表現の地平』後藤隆基編、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館監修、春陽堂書店、2021年。コロナ状況初期に中止や延期になった国内の演劇公演の記録と、現場の声。AA研共同研究員の前原恵美も寄稿している。巻頭特集「コロナ状況下のアジアで     舞う・奏でる・演じる」補遺 記事をご覧になって興味を持たれた方に、おすすめの図書を紹介します。Profile

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