ボリビアウピヌアヤチャラサニラパススクレ*写真はすべて筆者撮影。16ネギと笛。これさえ持っていればカリカリは襲ってこないのだ、という。ウピヌアヤ村でお世話になった村長夫婦。写真を地面に広げて昔の話をしてくれた。ありがたい。ことすらある。マイナーな国に好き好んで行っているのだから、当たり前のことなのだが、今となってはお気に入りになった国が世間にあまり知られていないのはちょっとさびしい。 ボリビアは南米の真ん中にある国で、半分がアンデス高地に、もう半分がアマゾン低地に属している。ボリビアは、経済的な統計データを見る限り、南米の中でも最も貧しい国のうちのひとつだ。しかし、治安がそこまで悪いかと言われると、そうとも言えないような気がする。もちろん、日本よりも治安がいいとは言えない。財布やスマホをどこかに置き忘れたら、それはもう戻ってこないと思っていい。真夜中に街のさびれたところを何の警戒もなく歩いていたら酔っ払いの喧嘩に巻き込まれるかもしれない。ただ、それでも体感としては、ひどく治安が悪いというわけではない。ボリビアの隣にある南米の別の国に行った私の友人は、1年の間に2度は銀行強盗を目撃したというし、中米のとある国に行った先輩は、外出の時には必ず車で出かけていて、護身用の拳銃を常に持ち歩いていたと言っている。そんなところに比べれば、ボリビアは貧しい国だが、ずっとのどかなところだと思う。(もっともこれはひどく自分の運がいいか、周りの人に守られていたからかもしれないのだけれど。) しかし、ボリビアを「ひとり」で旅行しようとなると、全く別の種類の「キケン」が潜んでいることがあるらしい。そのことを知ったのは、ボリビアをすでにひとりでたくさん旅した後のことだった。ウピヌアヤ村の祭りの様子。細々と続く祭りにきらびやかさはないが、人々の祈りはいつも真剣だ。ウピヌアヤ村全景。ボリビアの村は、荒涼としたアンデス山脈にぽっかりと浮かぶ島のようだ、といつも思う。チチカカ湖ボリビアって危ないところ?? 「ボリビアという国の調査をしています」と自分の専門を他の人に説明する時、よく返ってくる質問のひとつが「そこって治安悪くないですか?」というものだ。挙げ句の果てに、「あーアフリカのね!」(それはボツワナ!)「中東にあって独裁者がいたとか言われてる国?」(それはきっとリビア!)「そこって民族同士ですごい内戦があった国ですよね」(それはたぶんボスニア!)と言われる相田 豊 あいだ ゆたか / 東京大学ひとりカリカリに気をつけろ!ボリビアをひとりで旅することについてボリビアってどんなところだろう? もしかしてものすごく「キケン」なところなのだろうか……?──いやいや、ボリビアはのどかでとっても素敵な国だ。ただ、ひとつ、旅をする時には気をつけるべきことがある。特に「ひとり」で旅する時には……
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