FIELD PLUS No.24
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32FIELDPLUS 2020 07 no.24荒川慎太郎(あらかわ しんたろう)1971年生/AA研/言語学、文字学主要業績:『プリンストン大学図書館所蔵西夏文妙法蓮華経──写真版及びテキストの研究』(創価学会・東洋哲学研究所、2018年)●ひとこと:これまで仏教文献を資料として西夏「語」の研究をしてきました。最近は、12世紀の規範的な字体の資料などから、西夏「文字」の字形、特に筆画についても考察しています。宇田川 彩(うだがわ あや)1984年生/テルアビブ大学、日本学術振興会海外特別研究員/文化人類学、ユダヤ学主要業績:『それでもなおユダヤ人であること──ブエノスアイレスに生きる現代の〈記憶の民〉』(世界思想社、2020年7月刊行予定)●ひとこと:ユダヤ人を追いかけて、アルゼンチンとイスラエルで現地調査・研究を行ってきました。今後は文化人類学や人文学に基づきながら、より広い社会に人文知を拓くことに挑戦したいと考えています。岡田一祐(おかだ かずひろ)1987年生/北海学園大学、AA研共同研究員/日本語学主要業績:「明治検定期読本における平仮名字体」(『日本語の研究』第10巻第4号、97-83頁、2014年)●ひとこと:街中の文字に関してはもっと目ざとい方々がいるので畏れおおいところですが、他人が手で書いたものを目にしなくなりつつある現代において、みずからの常識を揺さぶられるのが街中の文字を見る醍醐味です。落合淳思(おちあい あつし)1974年生/立命館大学、AA研共同研究員/東洋史学、漢字学主要業績:『甲骨文字辞典』(朋友書店、2016年) ●ひとこと:これまでは古代史や古代漢字の研究だけをしていましたが、最近は(あまり得意ではありませんが)言語や書道など、色々な分野と関わるようになっています。賀川恵理香(かがわ えりか)1993年生/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻博士一貫課程/パキスタン地域研究主要業績:「〈フィールドワーク便り〉変わりゆくブルカの姿――パキスタン・ラーホールの街角で」(『アジア・アフリカ地域研究』第17巻第2号、316-319頁、2018年)●ひとこと:現在パキスタン、パンジャーブ州の農村部にてフィールドワークを実施しています。女性の服装規範や行動規範に興味をもって研究を進めています。現地語であるパンジャービーを習得するために日々奮闘中です。河合 文(かわい あや)1983年生/AA研/文化人類学主要業績:“Navigation in the Rainforest: The Case of the Batek in the Upper Lebir River Watershed, Malaysia” (People and Culture in Oceania, 34, 1-23, 2018)●ひとこと:温かく湿度の高いマレーシアに行くと元気になります。新型コロナ感染症の流行が収まって、また人びとが国境を越えて行き来できる世の中になることを祈っています。呉人徳司(くれびと とくす)1965年生/AA研/言語学(チュクチ語、モンゴル諸語)主要業績:『探検言語学──ことばの森に分け入る』(呉人惠と共著、北海道大学出版会、2014年)●ひとこと:生まれ育った内モンゴルを離れ、1990年に日本にきてから、主にロシアのシベリア地域で話されているチュクチ語の文法の研究を行なっている。また、チュクチ語の記録・保存にも力を入れ、現地調査で採集した民話資料を数冊出版している。黒澤直道(くろさわ なおみち)1970年生/國學院大學、AA研共同研究員/ナシ族の言語文化主要業績:『ナシ(納西)族宗教経典音声言語の研究──口頭伝承としての「トンバ (東巴)経典」』(雄山閣、2007年)●ひとこと:ナシ族にはよく知られたトンバ経典のほか、様々な種類の言語伝承があります。まだまだ勉強の途上ですが、豊かなナシ族の言語世界を少しでも深く理解したく、勉強を続けています。児倉徳和(こぐら のりかず)1978年生/AA研/記述言語学、シベ語研究主要業績:『シベ語のモダリティの研究』(勉誠出版、2018年)●ひとこと:新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う外出自粛で大変な日々ですが、一方でオンライン会議の急速な普及により、中国だけでなく日本や欧米にお住まいのシベの方々が一堂に会する集まりを気軽に開くことができるようになったことに一筋の希望の光を見出しています。笹原宏之(ささはら ひろゆき)1965年生/早稲田大学、AA研共同研究員/日本語学、漢字学主要業績:『日本の漢字』(岩波新書、2006年)●ひとこと:日本語を表記するために日本人が加工しながら用いてきた漢字の動態に関する歴史と、それを使っている人たちの心の有り様を知りたいと思い、世界の文字と比較しながら研究を続けています。清水政明(しみず まさあき)1967年生/大阪大学、AA研共同研究員/ベトナム語主要業績:“A Reconstruction of Ancient Vietnamese Initials Using Chu Nom Materials”(『国立国語研究所論集』第9号、135-158頁、2015年)●ひとこと:チュノム資料を用いたベトナム語の音韻研究に従事しています。一見その構造が恣意的・非統一的に見えるチュノムという文字に潜む徹底した表音性を解明し、その正確さに支えられた音韻研究の可能性を追求しています。竹村景子(たけむら けいこ)1967年生/大阪大学、AA研共同研究員/スワヒリ語学・文学・文化論主要業績:『ニューエクスプレスプラス スワヒリ語』(白水社、2018年)●ひとこと:近年はスワヒリ語諸変種の調査をタンザニアのザンジバル島とペンバ島で展開中。いつか本にまとめられればと思っている。また、スワヒリ語による絵本翻訳にも力を入れている。谷 憲一(たに けんいち)1987年生/一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程/社会人類学、イラン地域研究主要業績:「第14章 世俗主義とイスラーム」(小杉泰・黒田賢治・二ツ山達郎編『大学生・社会人のためのイスラーム講座』ナカニシヤ出版、243-257頁、2018年)●ひとこと:イランのテヘランを中心にシーア派イスラームの儀礼の研究をしています。私自身は、イランにいた時も、日本にいる今も、ズールハーネではなくウェイトトレーニングを行っています。深澤秀夫(ふかざわ ひでお)1954年生/AA研フェロー/マダガスカルを中心とするインド洋西域島嶼の社会人類学主要業績:『ルイ・カタ著『マダガスカル旅行記1889年~1890年』1895年所収画像・解説』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2015年)●ひとこと:これからの5年間、フランスが植民地期に導入した「市民」と「臣民」の法的・空間的な分離が、「共和制」の中で現代マダガスカル社会及び現代フランス社会にどのような影響を生成してきたのかについて調査研究してゆきます。三浦順子(みうら じゅんこ)1957年生/チベット関係の翻訳家、AA研共同研究員主要業績:『ハバ犬を育てる話』(海老原志穂・大川謙作・星泉と共訳、タクブンジャ著、東京外国語大学出版会、2015年)●ひとこと:翻訳というのは人間嫌いの引きこもり体質の人間にぴったりの職業なのだけど、のめりこんで訳しているうちに文字と文字のあいだから著者の内なる声が聞こえてくることがある。そこまで著者が憑依してくれればその翻訳は成功です。横山(徳永)晶子(よこやま/とくなが あきこ)1986年生/日本学術振興会特別研究員(AA研)、AA研共同研究員/言語学主要業績:van der Lubbe, Gijs and Tokunaga, Akiko “Okinoerabu grammar”(In Patrick Heinrich, Michinori Shimoji and Shinsho Miyara (eds.), Handbook of the Ryukyuan Languages: History, Structure, and Use, De Gruyter Mouton, 345-377, 2015)●ひとこと:今年は、言語継承の新しい手法に挑戦したいと思っています。言語継承の取り組みを進める一方で、言語そのものの研究も真摯に続けて行きたいと思っています。吉川雅之(よしかわ まさゆき)1967年生/東京大学、AA研共同研究員/香港言語論主要業績:『香港粤語』シリーズ(白帝社、2001年~)●ひとこと:東アジア諸言語の音韻と文字表記について、通時的視点と共時的視点の双方から研究をしています。1995年から98年まで香港在住。Profile巻頭特集「書を求めよ! 町へ出よう!漢字をフィールドワークする」補遺記事をご覧になって興味を持たれた方に、おすすめの図書を紹介します。『日本語ライブラリー 漢字』沖森卓也・笹原宏之編著、朝倉書店、2017年少し専門的な内容も含まれますが、漢字に関する最新の知見が反映されています。「日本語ライブラリー」の一冊ながら、中国やベトナムにおける漢字や、漢語音の歴史的な変遷も学べるお得な一冊です。本特集の寄稿者も執筆しています。

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