FIELD PLUS No.23
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責任編集 熊倉和歌子巻頭特集地理情報から読み  Googleマップ、グルメサイト、Pokémon GO。わたしたちは、地理情報システム(Geographic Information System, GIS)を利用したさまざまなサービスを日常的に利用している。インターネットの高速化とスマートフォンの普及が、GIS利用の範囲を押し広げ、生活に不可欠なもののひとつになろうとしている。このような新しい技術の進歩は、日常生活だけでなく、歴史研究にも大きな変化をもたらしている。中東においては、紙製の測量地図を入手するのが難しい国が少なくないが、Googleマップはそのような国の衛星画像を見ることを可能にしてくれる。このような状況を背景に、中東を対象とした歴史研究においても、GISを利用した研究やデータベース構築のプロジェクトなどが少しずつ見られるようになってきている。 本特集では、地理情報を利用した中東の歴史に関する4つの研究の展望を紹介し、地理情報から読み解く歴史研究のアイデアと発展の可能性を提示したい。加藤は、エジプト中部のファイユーム盆地が、長い歴史のなかで歩んだ発展と衰退の経路を描き、前近代と近代との接続をはかる。そこでは、地理情報が、長期持続する地形や環境をあつかい、そ2FIELDPLUS 2020 01 no.23

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