FIELD PLUS No.21
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32FIELDPLUS 2019 01 no.21荒川慎太郎(あらかわ しんたろう)1971年生/AA研/西夏語、西夏文字主要業績:『プリンストン大学図書館所蔵西夏文妙法蓮華経』(創価学会・東洋哲学研究所、2018年)●ひとこと:自身の研究と全く関係の無い記事を寄稿するのは久しぶりです。ちょうど夏(暑かった!)から秋の境に、本記事用に『山猫の夏』を読み返しました。「夏が去った頃」読むのがベスト!?石川博樹(いしかわ ひろき)1973年生/AA研/歴史学主要業績:『食と農のアフリカ史――現代の基層に迫る』(小松かおり・藤本武と共編著、昭和堂、2016年)●ひとこと:2016年出版の編著『食と農のアフリカ史』の編集を通じて見出したアフリカの食の歴史に関する新たな課題に取り組むとともに、世界史とのつながりを重視してアフリカの歴史の研究を進めていきたいと考えています。梅谷博之(うめたに ひろゆき)1973年生/東京大学、AA研共同研究員/言語学、モンゴル語主要業績:「モンゴル語の他動詞派生接辞-GAが他動詞につく場合」(林徹・久保智之・藤代節・大﨑紀子・岸田泰浩・菅原睦編『ユーラシア諸言語の多様性と動態――20号記念号』ユーラシア言語研究コンソーシアム、463-471頁、2018年)●ひとこと:諸事情によりモンゴル語のネイティブスピーカに対して調査をする機会が減ってきました。貴重な一次データが入手できる調査を以前のように頻繁に行ないたいと思っています。江畑冬生(えばた ふゆき)1977年生/新潟大学、AA研共同研究員/言語学主要業績:「サハ語(ヤクート語)の「双数」の解釈――聞き手の数からの分析」(『言語研究』第151号、63-74頁、 2017年)●ひとこと:サハ語の研究を続けながら、2014年からはトゥバ語の現地調査も始めました。地理的にも言語構造的にも近接する両言語間の差異を見ることで、サハ語の特徴が見えやすくなったと感じています。蝦名大助(えびな だいすけ)1973年生/神戸山手大学/言語学主要業績:“Cusco Quechua” (In Yasuhiro Yamakoshi (ed.), Grammatical Sketches from the Field, Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies, 1-39, 2011)●ひとこと:20年ほどペルーでケチュア語の調査をしてきましたが、近年はコロンビアでカムサ語の調査をしています。もう1つ、系統の違う言語を、できれば他の南米の国で調査するのが目標です。小倉智史(おぐら さとし)1983年生/AA研/歴史学主要業績:“Persian Historiography of Kashmir during the Gahāngīr Period I: The Intihāb-i Tārīh-i Kašmīr”(『アジア・アフリカ言語文化研究』第96号、145-293頁、2018年)●ひとこと:パリを拠点にしている国際共同研究プロジェクト “Perso-Indica” に2015年から参加しています。サンスクリット古典のペルシア語訳や、インド的学知を扱ったペルシア語文献をサーヴェイするプロジェクトで、日々学問的な刺激を受けています。風間伸次郎(かざま しんじろう)1965年生/東京外国語大学、AA研共同研究員/アルタイ諸言語、言語類型論主要業績:「日本語の類型について――『アルタイ型言語』の解明を目指して」(『北方言語研究』第4巻、157-171頁、2014年)●ひとこと:ツングース諸語の辞書や、チュルク諸語とモンゴル諸語の音声付き語彙集の作成に取り組んでいます。いろいろな言語に関して、なお未整理・未刊行の貴重な録音資料もたくさんあり、それらの整理・分析・刊行も喫緊の課題です。黒木英充(くろき ひでみつ)1961年生/AA研/中東地域研究主要業績: 『シリア・レバノンを知るための64章』(編著、明石書店、2013年)●ひとこと:シリア・レバノンの食についてより詳しくは、大塚和夫編『世界の食文化10 アラブ』(農文協、2007年)所収の拙稿をご覧ください。最近、あちらでも食文化の本が多数出版されています。失われかねないとの危機意識があるのでしょうか。後藤健志(ごとう たけし)1980年生/AA研ジュニア・フェロー/人類学主要業績:「ブラジル・アマゾンにおける所有地の実体化の過程――マト・グロッソ州の農地改革の諸相に関する人類学的考察」(筑波大学大学院人文社会科学研究科提出博士論文、2017年)●ひとこと:政治経済への関心からアマゾンでのフィールドワークを始め、その後、生態学へと関心を移す。当面の目標は「社会科学者」という肩書きから「社会」を取り外すこと。砂井紫里(さい ゆかり)1974年生/早稲田大学高等研究所、AA研共同研究員/文化人類学、食文化研究主要業績:Yukari Sai and Johan Fischer “Muslim food consumption in China: Between qingzhen and halal” (In Bergeaud-Blackler Florence, Johan Fischer, and John Lever (eds.), Halal Matters: Islam, Politics and Markets in Global Perspective, Routledge, 160-174, 2015)●ひとこと:わたしたちは何をどのように食べ、人と交わっているのか。飲食から、わたしたちの暮らし、社会について考えています。菜食の調査もしたいのですが、堅果類のアレルギーがあるため、なかなか踏み込めません。新保奈穂美(しんぽ なおみ)1987年生/筑波大学/緑地計画学主要業績:新保奈穂美・斎藤馨「計画者と利用者からみた『都市の農』の変遷に関する考察」(『ランドスケープ研究』第78巻第5号、629-634頁、2015年)●ひとこと:世界各地で都市内農園の調査をする一方、大学でも多文化共生ガーデン実験として学生のみなさんと野菜やヤギなどのお世話をしています。多様なものを受け入れるガーデンの奥深さが、たくさんの人に伝わるとよいなと思っています。髙橋洋成(たかはし よな)1978年生/AA研特任研究員/言語学主要業績:“A Small Dictionary of Hamar with Some Lexical Notes on Banna and Karo” (Studies in Ethiopian Languages, 4, 35-75, 2015)●ひとこと:人付き合いが苦手で古代語の研究を志したのに、どうしたことかフィールドワークの道に入り、多くの方々に助けられることになりました。現代語の調査の経験から、古代語が話されていた時代の風景を想像しています。南部真喜子(なんぶ まきこ)1986年生/東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程/現代中東地域研究主要業績:「分離壁」他(臼杵陽・鈴木啓之編著『パレスチナを知るための60章』明石書店、335-337頁他、2016年)●ひとこと:徒歩は現地での主な移動手段でした。歩くことで予期せぬグラフィティにめぐり合うこともあり、またそんなグラフィティ見たさに歩いていたのかもしれません。松本 亮(まつもと りょう)1975年生/神戸山手大学/言語学主要業績:『言語接触とエヴェンキ語の一致に関する研究』(京都大学大学院文学研究科提出博士論文、2014年)●ひとこと:ツングース語族のエウェンキ語から入り、今はウラル語族サモエード語派のネネツ語、さらにはウゴル語派のハンティ語へ触手を伸ばしています。山越康裕(やまこし やすひろ)1976年生/AA研/モンゴル諸語主要業績:「シネヘン・ブリヤート語」(李林静・山越康裕・児倉徳和編著『中国北方危機言語のドキュメンテーション』三元社、205-249頁、2018年)●ひとこと:一つの言語を記述する研究は、地味でつらいものです。でも今回の特集のように多くの人がさまざまな言語の記述に従事しているのは、記述研究が面白いから。この面白さを共有できる人がもっと増えますように。吉岡 乾(よしおか のぼる)1979年生/国立民族学博物館、AA研共同研究員/記述言語学主要業績:『なくなりそうな世界のことば』(創元社、2017年)●ひとこと:系統的孤立語を特殊だと考えがちな人たちの他、少数言語を特殊だと思いがちな人たちもありますね。そちらのほうが更に、どういう理窟でそう考え至るのかが摑めず、「不思議なものだなぁ」などと首を傾げたりします。吉田優貴(よしだ ゆたか)1975年生/AA研研究機関研究員/人類学主要業績:『いつも躍っている子供たち――聾・身体・ケニア』(風響社、2018年)●ひとこと:日常生活のあらゆる経験が、人類学者など(みうらじゅん風)をしている私をぼんやりと形作ってくれている。目下、身近な人のライフヒストリーを追っているが、どう形にするか、そもそも形にするのかについては未定。吉村大樹(よしむら たいき)1977年生/アンカラ大学、AA研共同研究員/言語学、テュルク(チュルク)語学主要業績:『トルコ語のしくみ 新版』(白水社、2014年)●ひとこと:2014年にトルコの首都、アンカラに来てからここ数年、何度かアゼルバイジャンを訪れる機会を得ています。アゼルバイジャン語も楽しいですが、将来的には、ほかのテュルク諸語にもできるだけ多く触れたいです。李 林静(り りんせい)1977年生/成蹊大学/記述言語学主要業績:『中国北方危機言語のドキュメンテーション』(山越康裕・児倉徳和と共編著、三元社、2018年)●ひとこと:ほぼ毎年ヘジェン人が暮す村に通い続けて17年。今年は特に長老たちの体調が思わしくなく、焦りを覚える年であった。できるだけ多くのデータを残さなければと、来年の調査に向けて書き起こし作業を行う毎日である。Profile

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