32FIELDPLUS 2018 01 no.19小倉智史(おぐら さとし)1983年生/AA研/歴史学主要業績:“Incompatible Outsiders or Believers of a Dar´sana?: Representations of Muslims by Three Brahmans of Šāhmīrid Kašmīr”(Rivista degli Studi Orientali, 88(1-4), 179-214, 2016)●ひとこと:2015年に提出した、14–17世紀カシミールのサンスクリット・ペルシア語歴史叙述を扱った博士論文を英文単著として出版すべく、日々励んでいます。苅谷康太(かりや こうた)1979年生/AA研/西アフリカ・イスラーム地域研究主要業績:「初期ソコト・カリフ国における背教規定」(『アジア・アフリカ言語文化研究』第94号、137–177頁、2017年)●ひとこと:バッタ博士の著作を拝読して、モーリタニアを再訪したくなってしまいました。神田 惟(かんだ ゆい)1987年生/東京大学大学院人文社会系研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員(DC1)/イスラーム美術史主要業績:“Kashan Revisited: A Luster-painted Ceramic Tombstone Inscribed with a Chronogram Poem by Muhtasham Kashani”(Muqarnas, 34, 273-286, 2017)●ひとこと:これまで、工芸品の銘文中のペルシア語詩を読んでもあまり得るものがないと考えられてきました。私はその偏見を変えたいです。お気に入りは、陶器が喋り出した!という内容の詩が施された17世紀イラン製の壺です。黒木英充(くろき ひでみつ)1961年生/AA研/中東地域研究主要業績:『シリア・レバノンを知るための64章』(編著、明石書店、2013年)●ひとこと:学部学生時代にレバノン研究を志すも、内戦で現地に行けずシリア史研究に方向転換。戦後ベイルートにAA研の海外拠点を設置できた(2006年)ものの、今度はシリアが内戦に。破壊されるフィールドからも何かを掬い上げねばと考えます。小林美紀(こばやし みき)1983年生/国立アイヌ民族博物館設立準備室((公財)アイヌ文化振興・研究推進機構博物館運営準備室)研究員/言語学、アイヌ語主要業績:「名詞項の意味役割が交替するアイヌ語動詞」(中川裕先生還暦記念論文集刊行委員会編『ひろがる北方研究の地平線――中川裕先生還暦記念論文集』サッポロ堂書店、19-27頁、2017年)●ひとこと:これから学習者がアイヌ語で話したり、文章を書いたりする機会が増えていく可能性があります。語られるアイヌ語と書かれるアイヌ語にはどのような違いがあるのかが気になります。近藤洋平(こんどう ようへい)1982年生/AA研特任研究員/イスラム学主要業績:“Ibād4ī Discussions on Conversion and Commitment”(The Muslim World, 105 (2) (Special Issue on Ibād4ism), 224-235, 2015)●ひとこと:2015年4月から、東地中海に面した国レバノン共和国の首都ベイルートで暮らしています。櫻田涼子(さくらだ りょうこ)1975年生/育英短期大学/文化人類学、華僑華人研究主要業績:『食をめぐる人類学――飲食実践が紡ぐ社会関係』(稲澤努・三浦哲也と共編著、昭和堂、2017年)●ひとこと:マレーシア華人家族と共に暮らす過程でマレー半島の豊かな食文化に魅了されるようになりました。今後は、都市部に働きに出る働き盛り世代がどのように「家庭の味」を維持しているか調べたいと考えています。澁谷俊樹(しぶや としき)1982年生/横浜市立大学非常勤講師、AA研ジュニア・フェロー/文化人類学、南アジア研究主要業績:「農耕祭祀から都市祭礼へ――インド・カルカッタのチョロック・プジャの場合」(鈴木正崇編『森羅万象のささやき――民俗宗教研究の諸相』風響社、77-101頁、2015年)●ひとこと:インドの宗教と社会の研究が専門です。とくにヒンドゥー教の低カーストや不可触民の行事や社会の実情と、その歴史的な形成について調べています。鈴木宏節(すずき こうせつ)1976年生/青山学院女子短期大学/東洋史学主要業績:「突厥碑文から見るトルコ人とソグド人」(森部豊編『ソグド人と東ユーラシアの文化交渉』アジア遊学第175号、198-216頁、2014年)●ひとこと:突厥碑文や漢文銘文を調査しつつ、最近では南北モンゴルをつなぐゴビ縦断路の復元に取り組んでいます。髙松洋一(たかまつ よういち)1964年生/AA研/オスマン朝史主要業績:「一八世紀オスマン帝国における紅海交易の一断面――問答集『ジッダ港の統治の秩序のために準備された諸留意点』」(川分圭子・玉木俊明編著『商業と異文化の接触――中世後期から近代におけるヨーロッパ国際商業の生成と展開』吉田書店、719-749頁、2017年)●ひとこと:最近はオスマン朝時代の図書館目録と現存する図書とを一つ一つ対照し、蔵書コレクションがどう形成されてきたかを調べています。昔の人が何を思って本を寄贈し、図書館を作っていったかが偲ばれ、興味が尽きません。辻 明日香(つじ あすか)1979年生/川村学園女子大学、AA研共同研究員/西アジア史主要業績:『コプト聖人伝にみる十四世紀エジプト社会』(山川出版社、2016年)●ひとこと:中東におけるムスリムとキリスト教徒との関係を研究しています。先日レバノンの修道院にて、文献でしか知らなかった中東のぶどう畑を目にして感激しました。服部志帆(はっとり しほ)1977年生/天理大学/生態人類学、民族植物学主要業績:『森と人の共存への挑戦――カメルーンの熱帯雨林保護と狩猟採集民の生活・文化の両立に関する研究』(松香堂書店、2012年)●ひとこと:カメルーンの狩猟採集民だけでなく最近は屋久島の伝統的な狩猟とその現代的な展開について研究を行っている。マレーシアの狩猟採集民プナンの薬やガーデニングにも興味津々である。平田 秀(ひらた しゅう)1983年生/AA研特任研究員/日本語の音声・音韻主要業績:「2010年〜2016年の日本語歌謡曲における特殊モーラ」(『東京大学言語学論集』第38号、51-63頁、2017年)●ひとこと:今回は歌について書かせていただきました。歌の研究以外に、三重県の南の方へフィールドワークに出かけて、方言のアクセントについての研究もしています。山本 睦(やまもと あつし)1978年生/山形大学/文化人類学、アンデス考古学主要業績:「自然環境における神殿の位置づけ」(関 雄二編『アンデス文明――神殿から読み取る権力の世界』臨川書店、83-108頁、2017年)●ひとこと:これまでは学生時代から継続して、ペルー北部で調査を続けてきました。今後は、体力のあるうちにもう少し守備範囲をひろげて、エクアドル南部などでも歩き回り、発掘調査をしてみたいと思っています。若松大樹(わかまつ ひろき)1978年生/トロス大学アレヴィー・ベクタシー研究センター(トルコ)、AA研共同研究員/文化人類学主要業績:“Veneration of the Sacred or Regeneration of the Religious: An Analysis of Saints and the Popular Beliefs of Kurdish Alevis”(『上智アジア学』第31号, 69-84頁, 2013年)●ひとこと:日本学術振興会特別研究員PD(2011年採用)を経て、2014年6月からトルコ共和国国立ヒッタイト大学文理学部人類学科にて勤務。その後2016年7月から現職。現代トルコにおけるアレヴィーの人々の宗教と宗教実践に関する文化人類学的研究をしています。PROFILE巻頭特集「一なる神、多様なる社会 少数派から読み解く中東地域」補遺記事をご覧になって興味を持たれた方に、おすすめの図書を紹介します。『新・民族の世界地図』21世紀研究会編、文藝春秋、2006年。『中東世界データ地図――歴史・宗教・民族・戦争』ダン・スミス著、龍和子訳、原書房、2017年。『イスラーム・ドルーズ派――イスラーム少数派からみた中東社会』宇野昌樹、第三書館、1996年。『新月の夜も十字架は輝く――中東のキリスト教徒』菅瀬晶子、山川出版社、2010年。『中東・イスラーム研究概説――政治学・経済学・社会学・地域研究のテーマと理論』私市正年・浜中新吾・横田貴之編著、明石書店、2017年。
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