FIELD PLUS No.14
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1FIELDPLUS 2015 07 no.14 所長就任のごあいさつ東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所長飯塚正人 アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)は昨年、創立50周年を迎えました。 この間、国内外の専門研究者とともに研究を進めてきましたが、創設から半世紀を経て、研究所を取り巻く環境は一変し、研究所の担うべき使命も大きく変わってきています。1964年にAA研が誕生したとき、日本は独立したてのアジア・アフリカ諸国と良好な関係を築くという国家的課題を抱えており、それゆえ、国策として設立されたAA研にも、アジア・アフリカの多様な言語・文化・歴史を研究し、相互理解を深める礎となることが求められました。 それから50年以上経った今も、日本がアジア・アフリカ諸国と良好な関係を保つことの重要性は変わっていません。けれども、いまや国際情勢は大きな変貌を遂げ、アジア・アフリカの動向が日本のみならず地球社会全体に直接的な影響を及ぼす時代が到来しました。これにともなってAA研も、研究を通じて学界に貢献し、日本とアジア・アフリカ諸国の架け橋となるだけでなく、アジア・アフリカに暮らすふつうの人々の姿やその思い・価値観を広く国民の皆さんに紹介するという新たな使命を帯びるようになっています。 この『フィールドプラス』は、そうした新たな使命を果たすべく、創立以来一貫して「現場」(フィールド)を大切にしてきたAA研が、AA研ならではの研究成果をわかりやすくお伝えしようという試みです。日本人が内向きになっているとも言われる昨今、本誌を通じて「世界を感応」していただければ幸いです。フィールドワーカーのおみやげ小野智香子3233PROFILE・AA研からのお知らせ・編集後記・次号予告裏表紙24特別企画古チベット語史料を読む古代の失われた記憶を求めて岩尾一史フィールドワークって何?テーマ「のこす」121416●極北のトナカイ遊牧民のことばを追って呉人徳司●●●残すことから生まれることを残す博物館というフィールド山崎幸治18●●狩猟活動から遺されるもの野林厚志

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