FIELD PLUS No.13
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30FIELDPLUS 2015 01 no.13研究とTシャツとわたし 世界の旅行者があつまる安宿街・バンコクのカオサン通り。学生時代、ここでインド系文字Tシャツに遭遇した。「ビン・ラディンTシャツ」や「般若心経Tシャツ」といった「変なTシャツ」たちにまぎれて、タイ文字の一覧表をあしらったTシャツがあり、ビビビときた。以来、「言語調査」や「学会発表」を口実にして海外にでかけるたびに、バザールや夜店などをめぐり、ご当地文字Tシャツをさがすのが趣味となっている。インド系文字表Tシャツ タイ文字はインド系文字の一種である。インド系文字とは、古代インドで使用されたブラーフミー文字に源を発する各種の文字であり、当時のインド音声学の理論にしたがって文字が配列されている。日本語の五十音図も、インド系文字の配列に影響をうけている。 東南アジア・南アジア地域ではインド系文字がおおくつかわれている。そして、現地語の文字配列を図柄としたTシャツがよくうられている。筆者の経験の範囲では、タイとビルマ(ミャンマー)がもっとも文字表Tおなじ文字表Tシャツでも、デザインのちがいがいろいろある。上はタイ文字、左はビルマ文字。一見文章のようだがバンコクの正式名称。タイTシャツのブランド「LineTHAI」のもの。クメール(カンボジア)文字表Tシャツ:アンコール・ワットで有名な観光地シェムリアップの夜市で購入(2013年・約300円)。ランナー・タイ文字表Tシャツ:ランナー・タイ文字とはタイ北部をかつて支配していたランナー・タイ王国の言語を表記した文字。旧都チェンマイの日曜夜市にならぶ数百軒の露店の中から一軒だけで偶然にみかけた(2014年・約700円)。さまざまな「オーム」:「オーム」の文字をインドのさまざまな文字で表現。インドでは有名なブランド「Tantra T」のもの。ビン・ラディンTシャツ。Field+T-SHIRTインド系文字Tシャツの旅藤原敬介 ふじわら けいすけ / 神戸市外国語大学客員研究員観光地でかならずみかけるTシャツ。多様なデザインがあふれるなか、文字にまつわるTシャツも目をひく。ここではインド系文字Tシャツの世界を紹介する。インドバングラデシュビルマ(ミャンマー)カンボジアタイバンコク

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