FIELD PLUS No.12
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1FIELDPLUS 2014 07 no.12FIELD PLUS 半世紀のあとに東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)は今年、創立50周年を迎えます。アジア・アフリカ地域を対象とした言語学、人類学、歴史学の研究推進を目的として1964年に創設され、以来、フィールドワークの方法論構築と実践を研究活動の主要な柱のひとつとしてきました。今号では、50周年を記念する特別企画として、主に中東地域でフィールドワークを行ってきたAA研の元所員と現所員の対談を掲載しました。フィールドワークの思い出や意義、さらには、AA研の研究活動のもうひとつの柱である共同研究のあるべき姿など、話題は多岐に及びます。また、連載企画「フィールドワークって何?」では、専攻する地域もディシプリンも異なる3人のAA研元所員が、かつて自らが行ったフィールドワークについて語ります。歳月を経た後に「ふりかえる」彼らのまなざしは、手法や対象の細分化が急速に進むフィールドワークの原点を照らし出します。「未知」の世界に飛び込む困難さを本質的にもち、「偶然」にも少なからず左右されるフィールドワークの奥深さと魅力を感じ取っていただけるのではないでしょうか。今号でその一端を紹介したAA研半世紀の歩みを回顧するとともに、これから進むべき研究の方向性を展望する各種の研究企画をAA研では予定しています。詳しくは巻末の「AA研からのお知らせ」やAA研ウェブサイトなどをご覧ください。 巻頭特集では、複数の言語が日常的に用いられることが珍しくない東南アジアの島嶼部とその隣接地域を取り上げます。昨今の急激な社会・経済変動のなかで、そうした多言語状況も大きく変化し、消滅の危機に瀕している言語すら出てきています。言語からみたこれらの地域の現在を現場の第一線にたつ研究者たちが報告します。特別企画とあわせて、盛りだくさんの内容で今号をお届けします。FIELDPLUS編集部AL1316●「知らない」ことを「調査」するのがフィールドワークではあるが……小川 了フィールドワークって何?テーマ「ふりかえる」12●●●青春は“月の山”の彼方1970年代、80年代の私の言語調査梶 茂樹198フィリピンの複雑で悩ましいことば事情北野浩章・9新しいことばとコミュニケーションの時代へフィリピン・ボントックの言語変化とその担い手たち菊澤律子・10800以上の現地語が話されるパプアニューギニア変わりゆくアメレ語の村で野瀬昌彦・11台湾原住民族の言語状況月田尚美28フロンティア現地の人と共に語り継ぐことばタンザニア・ベンデ語阿部優子裏表紙フィールドワーカーのおみやげ梅村絢美●●悲劇の都市、サライェヴォでのフィールドワークから永田雄三

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