FIELD PLUS No.12
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12FIELDPLUS 2014 07 no.12歴史学言語学 今年、アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)は創立50周年を迎えます。今回のテーマ「ふりかえる」では、AA研にゆかりの方々に、それぞれのご研究を「ふりかえって」いただきました。普段の連載より文字数も「増量」してお届けします。執筆者は、所員の私たちから見れば、かつては「先生」であり、ある時から「大先輩」となった方々。扉文の慣例により「さん」づけで紹介するのも恐れ多い皆さまですが、深い敬意とともにそう呼ばせていただきます。 小川了さんは西アフリカ、セネガルなどをフィールドとした民族学者。農作物、農具、そして現地で知己となった「セネガル歩兵」の思い出とともに、「知らなかったこと」を悔いておられますが、読者には「自分の知らないことに真摯に向き合うことこそが学問である」と教えられる内容です。 永田雄三さんは、オスマン帝国史研究の第一人者。本企画では、旧ユーゴスラヴィア、サライェヴォにおける文献調査をふりかえっていただきました。現地の人びととの出会い、フィールドワークでのご苦労、古文書研究の心構えなどを折り込みつつ、サライェヴォの町並みが眼前に浮かんでくるような味わい深いエッセイです。 梶茂樹さんは、長年アフリカでフィールド言語学に携わっておられる方。1970年代、未知の土地で未研究の言語を対象としたフィールドワークを開始されました。当時の言語調査の実態やドキュメンテーションの姿を克明に描いていただけました。現在の研究者や、フィールド調査を志す若人にも示唆に富んでいます。 民族学・歴史学・言語学と、それぞれ分野は異なりますが、ただ研究を回顧するだけでなく、後進への温かいアドヴァイスを盛り込んだ内容を寄稿してくださいました。読者の皆さまも、これを踏まえて「研究者の足跡」をたどっていただければ幸いです。 〈荒川慎太郎・髙松洋一 記〉テーマフィールドワークって何?民族学りえるかふりふかえるふりかえる

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