FIELD PLUS No.10
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32 32Field+ 2013 07 no.10安渓貴子(あんけい たかこ)山口大学非常勤講師、AA研共同研究員/民族植物学、民族生態学主要業績:『森の人との対話――熱帯アフリカ・ソンゴーラ人の暮らしの植物誌』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2009年)●ひとこと:キャッサバの原産地南米の森の人々の暮らしと、キャッサバとの関わりを見たい。なぜ南米に食べ方の報告が少ないのか知りたいと思います。人々の何気ない暮らしのなかにこめられた意味をさぐることを楽しみとしています。飯嶋秀治(いいじま しゅうじ)1969年生/九州大学大学院/共生社会システム論主要業績:『支援のフィールドワーク――開発と福祉の現場から』(共編、世界思想社、2011年)●ひとこと:行く先々で問題に出会うので、「俺はトラブルメーカーなのか?」と自問しつつ、そういうフィールドばかりでは疲れ切ってしまうので、生活の潤滑油を模索中。石川博樹(いしかわ ひろき)1973年生/AA研/歴史学主要業績:『ソロモン朝エチオピア王国の興亡――オロモ進出後の王国史の再検討』(山川出版社、2009年)●ひとこと:これまで北部エチオピア史研究を専門としてきましたが、より広い視点からアフリカ史をとらえる必要性、そして北部エチオピア史を含むアフリカ史研究の立場から歴史学研究全般に貢献する必要性を感じています。石山 俊(いしやま しゅん)1965年生/総合地球環境学研究所プロジェクト研究員、AA研共同研究員/文化人類学、アフロ・ユーラシア乾燥地研究主要業績:「環境変化となりわい動態――アフリカ乾燥地の農耕民グルマンチェ」(佐藤洋一郎・谷口真人編『イエローベルトの環境史――サヘルからシルクロードへ』弘文堂、98-111頁、2013年)●ひとこと:アフリカ乾燥地との縁は、環境NGO「緑のサヘル」のチャド駐在スタッフをきっかけに始まりました。そして20年かかってサハラ砂漠、スーダン東部にまで足跡を広げることができました。今後はアフリカ以外の乾燥地にも飛び込んでいきたいと考えています。稲垣和也(いながき かずや)1980年生/日本学術振興会特別研究員(京都大学)/記述言語学主要業績:『地球研言語記述論集:大西正幸博士還暦記念号』(編集、総合地球環境学研究所、2012年)●ひとこと:マラヨ・ポリネシア諸語の中で特殊な位置づけのバリト諸語は記述がすくないのでしっかり研究したい。最近は比較研究にも没頭中。南ブーゲンヴィルのシベ(ナゴヴィシ)語の研究も積極的な協力者とともにすすめたい。大川謙作(おおかわ けんさく)東京大学大学院総合文化研究科学術研究員/社会人類学、チベット現代史、チベット現代文学主要業績:『ゲンドゥンチュンペー伝 ――チベットの伝説の学僧の生と死』(星泉と共編、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2012年)●ひとこと:チベットの現代史や社会人類学、現代文学などを研究しています。現在は、台湾におけるチベット仏教ブームと、チベット社会史研究について、海外の研究者とも協力しながら推進していけたらと思っています。椎野若菜(しいの わかな)1972年生/AA研/社会人類学、東アフリカ民族誌主要業績:『結婚と死をめぐる女の民族誌――ケニア・ルオ社会の寡婦が男を選ぶとき』(世界思想社、2008年)●ひとこと:2013年11月より、あらゆる分野のフィールドワーカーのための、これからフィールドをめざす人にも役立つシリーズ本を2冊ずつ発刊(古今書院、全15巻)します。本号の「フィールドワークって何?-失敗する」に関連した第8巻は2014年1月に発刊予定です。ご期待ください。下岡順直(したおか よりなお)1977年生/京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設研究機関研究員/古文化財科学(年代測定)主要業績:Shitaoka, Y. et al., Quartz OSL dating of sand dunes in Ghaggar basin, northwestern India.(Geochronometria 39, 221-226, 2012)●ひとこと:人がどこから来てどこへ行くのか。私自身のたどり着く先を模索しながら、人類の起源と進化の過程について年代学の方面から探りたいと思っております。 新江利彦(しんえ としひこ)1967年生/京都大学国際交流推進機構/民族歴史学主要業績:『ベトナムの少数民族定住政策史』(風響社、2007年)●ひとこと:研究に関していま考えているのは、帝国正史と少数民族年代記の相関関係。ベトナム帝国の史官たちが少数民族チャムの年代記を漢文に翻訳させ参照していたことや、チャムの年代記の記述にベトナムの漢文正史に基づくらしいものがあることがわかってきました。陶安あんど(すえやす あんど、HAFNER, Arnd Helmut)1968年生/AA研/中国法制史主要業績:『秦漢刑罰体系の研究』(創文社、2009年)●ひとこと:本領は文献学ではあるが、共同研究で考古学などのフィールドワークに接してとても勉強になる。専門の壁があるからこそ、それを乗り越えていく楽しみが生まれると思う。 床呂郁哉(ところ いくや)1965年生/AA研/人類学、東南アジア研究主要業績:『越境――スールー海域世界から』(岩波書店、1999年)。●ひとこと:フィリピンを含む東南アジア各地のムスリム社会などについて調査研究をしています。近年は東南アジアばかりではなくオセアニアや中東、日本各地にも出かけて、現地における真珠をめぐる文化に関しても調査をしています。中町信孝(なかまち のぶたか)1972年生/甲南大学/中世アラブ史、エジプト文化研究主要業績:「マムルーク朝期の非著名知識人のライフコース――アフマド・アイニーに関する事例研究」(『東洋史研究』 第70巻 第4号、32-67頁、2012年)●ひとこと:エジプト留学中にはいろいろな歌手のコンサートやディナーショーを見に行きましたが、それからすでに干支が一回りしてしまいました。当時は無かったカイロのライブハウスを一度、じっくり見て回りたいものです。深澤秀夫(ふかざわ ひでお)1954年生/AA研/社会人類学、マダガスカルを中心とするインド洋海域島嶼社会研究主要業績:「ラルフ・リントンのマダガスカル調査とマダガスカル文化領域論の系譜」(飯田卓編著『国立民族学博物館調査報告103 マダガスカル地域文化の動態』23-53頁、2012年)●ひとこと:マダガスカルのむらはなぜ今目に見えるようなかたちをしているのか? その単純な問いを、むらびとの日々の営み、フランス植民地体制および独立後の政治体制とのかかわりの中に探る日々が続いています。藤本 武(ふじもと たけし)1967年生/富山大学、AA研共同研究員/文化人類学、アフリカ地域研究主要業績:「邂逅と往還のフィールドワーク――エチオピア山地社会での経験から」(李仁子・金谷美和・佐藤知久編『はじまりとしてのフィールドワーク――自分がひらく、世界がかわる』昭和堂、153-178頁、2008年)●ひとこと:エンセーテの話題はまだまだつきないのですが、今後それにかぎらず、食文化全般について、環境利用とのつながりや経済のグローバル化に伴う変化など、さまざまに考えていきたいと思っています。 溝辺泰雄(みぞべ やすお)1974年生/明治大学、AA研共同研究員/アフリカ学(英語圏アフリカ地域における近代化の研究)主要業績:「帝国による『保護』をめぐる現地エリートの両義性――初期植民地期イギリス領ゴールドコーストの事例から」(井野瀬久美恵・北川勝彦編『アフリカと帝国――コロニアリズム研究の新思考にむけて』晃洋書房、204-224頁、2011年)●ひとこと:現在の歴史性・歴史の現在性を常に意識しつつ、アフリカと向き合う日々を送っています。近ごろは、料理を通してアフリカの歴史や世界観を学ぶことができないかといろいろ思索中です。山北輝裕(やまきた てるひろ)1979年生/日本大学/社会学主要業績:『はじめての参与観察――現場と私をつなぐ社会学』(ナカニシヤ出版、2011年)●ひとこと:現在は、池袋で精神的な疾患を抱えた野宿者を支援する「東京プロジェクト」の応援をしつつ、野宿者・元野宿者と地域の交流について、当事者運動の観点から勉強しています。PROFILE■巻頭特集「アフリカの食~人と植物が織り成す歴史と文化~」補遺巻頭特集をご覧になってアフリカの食文化や栽培植物に興味をお持ちになった方に、おすすめの図書を紹介します。『アフリカ1・2(朝倉世界地理講座 大地と人間の物語11・12)』池谷和信・武内進一・佐藤廉也編、朝倉書店、2007-2008年。『アラブのなりわい生態系 第2巻 ナツメヤシ』石山俊・縄田浩志編、臨川書店、2013年。『アフリカ(世界の食文化11)』小川了、農山漁村文化協会、2004年。『ガーナを知るための47章』高根務・山田肖子編著、明石書店、2011年。『イモとヒト――人類の生存を支えた根栽農耕』吉田集而・堀田満・印東道子編、平凡社、2003年。

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