FIELD PLUS No.1
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32植村清加(うえむら さやか) 1974年生/成城大学民俗学研究所研究員、AA研共同研究員/都市人類学、文化人類学 主要著作:「私たちの差異ある〈つながり〉のかたち――フランス・パリ郊外におけるマグレブ系移民第二世代の多民族的共同体――」(『文化人類学』69巻2号、271-291頁、2004年)●ひとこと:シングルの視点として、日本での調査もはじめつつ、人々のライフサイクルや移動性とともに、都市の多-場環境を視野に入れたセーフティネットのあり方と資源のシェアリング実践をみていきたいです。 亀井伸孝(かめい のぶたか)1971年生/AA研非常勤研究員/文化人類学、アフリカ研究主要著作:『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年。2007年度国際開発学会奨励賞受賞)●ひとこと:手話という少数言語の数かずを学び始めて、ちょうど12年。干支でいう「一回り」となりました。今や、私の仕事も家庭も友人も、手話なくしてはありえません。次の12年ではいったい何が起こるか、楽しみです。國弘暁子(くにひろ あきこ) 1972年生/お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究員、AA研共同研究員/文化人類学 主要著作:「異装が意味するもの:インド、グジャラート州におけるヒジュラの衣装と模倣に関する研究」(神奈川大学21世紀COEプログラム『非文字資料研究の可能性—若手研究者育成成果論文集』、153-164頁、2008年)●ひとこと:ヒジュラとして生きる人々の協力を得ながらインド、グジャラート州での調査を継続する傍ら、カナダにおけるファースト・ネーションズ「ベルダーシュ」の調査にも着手します。久保明教(くぼ あきのり)1978年生/日本学術振興会特別研究員、AA研共同研究員/文化人類学、科学技術の人類学主要著作:「媒介としてのテクノロジー――エンターテインメント・ロボット『アイボ』の開発と受容の過程から」(『文化人類学』71巻4号、518-539頁、2007年) ●ひとこと:フィールドのリアリティを直視しつつ、いかにして学問的な概念・理論を作りあげるかが目下の課題です。研究用ブログ:http://kuboakinori.typepad.jp/doctors_left_eye/黒田末寿(くろだ すえひさ) 1947年生/滋賀県立大学、AA研共同研究員/霊長類学 主要著作:『人類進化再考――社会生成の考古学』(以文社、1999年)●ひとこと:『人類進化再考』で類人猿の食物分配から所有や間主観性の原初形態を考察してから9年、来年までに平等性と暴力を加え、初期人類社会の姿を描きたいと思っています。一方、滋賀で焼畑と牛耕の復活に携わっています。佐川 徹(さがわ とおる) 1977年生/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程、AA研短期共同研究員/文化人類学 主要著作:Modalities of Cultural Neighborhood in Southern Ethiopia(共著、Köln: Köppe Verlag、2009年3月刊行予定)●ひとこと:これまで周縁化される一方だったアフリカの牧畜民が団結して、自分たちの権利回復を国家や国際機関に主張しだしているようです。この運動がどのように展開していくのかに注目しています。椎野若菜(しいの わかな) 1972年生/AA研/社会人類学、東アフリカ民族誌 主要著作:『結婚と死をめぐる女の民族誌――ケニア・ルオ社会の女が男を選ぶとき』(世界思想社、2008年)●ひとこと:ルオ人の旬な話題は、ルオから米大統領が出たこと。オバマ氏のように世界にちらばっている、ルオ系の人々のネットワークも見ていきたい。シングルの視点では、オセアニアや南米も見たい! ウェブサイト:http://wakana-luo.aacore.jp/髙橋絵里香(たかはし えりか) 1976年生/東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程、AA研共同研究員/老年人類学、福祉主要著作:「自立のストラテジー:フィンランドの独居高齢者と在宅介護システムにみる個人・社会・福祉」(『文化人類学』73巻2号、133-154頁、2008年) ●ひとこと:2009年1月から、私の調査地の「群島町」は周辺の4自治体と合併します。何しろ群島部なので、合併後は街の最南端まで行って帰るだけで一日がかり。どんなことになるのか、楽しみでもあり、不安でもあります。田所聖志(たどころ きよし) 1972年生/東京大学医学部特任研究員、AA研共同研究員/社会人類学、民俗学 主要著作:「漁撈儀礼の実践と年齢秩序の相関――パプアニューギニア・テワーダにおける集団魚毒漁を例として」(『文化人類学研究』第7号、125-155頁、2006年) ●ひとこと:昨夏、ニューギニアで初めて共同調査を経験。先輩研究者が「20年近く前からの知り合い」と言って、とても快活な40歳前後の女性を紹介してくれました。異国の友達と歳を重ねてゆく。素敵なことだと思いませんか。 中山俊秀(なかやま としひで) 1963年生/AA研/言語学 主要著作:“Argument Structure in Discourse - Argument Choice in Possessive Constructions in Nuuchahnulth.” In: Toshihiro Takagaki, et. al. (eds.), Corpus-Based Approaches to Sentence Structures. Amsterdam: John Benjamins. pp.15-31. 2005.●ひとこと:人と人との間のコミュニケーションの中で形成され変化する言語、みんな一つの言語を作ろうと思ってしゃべっているわけではないのに、どうして「言語」にまとまるのか――最近悩む素朴な疑問、大きな問題です。花渕馨也(はなぶち けいや) 1967年生/北海道医療大学、AA研共同研究員/文化人類学 主要著作:『精霊の子供――コモロ諸島における憑依の民族誌』(春風社、2005年。第34回澁澤賞受賞)●ひとこと:彼女に憑依した精霊が嫉妬するため、30年近く独身をとおしてきたコモロの親しい女性がやっと結婚した。彼女と近所の女性たちが、どのようにして精霊をなだめ、結婚を承認させたのか、今度の調査でしっかり聞いて来ようと思っている。馬場 淳(ばば じゅん) 1975年生/日本学術振興会特別研究員、AA研共同研究員/社会人類学 主要著作:「婚資額へのオブセッション-パプアニューギニア・マヌス島クルティ社会におけるカストム・ワークの現代的位相」(『社会人類学年報』33号、185-204頁、2007年)●ひとこと:パプアニューギニアのジェンダー、法、社会福祉などの人類学研究に従事。日本ではフィットネスクラブにハマる人々を人類学的に考えている。福井幸太郎(ふくい こうたろう)1973年生/国立極地研究所特任研究員、AA研Fieldnetウェブ構築委員/雪氷学、自然地理学主要著作:Kotaro FUKUI, Toshio SONE, Jorge STRELIN, Cesar TORIELLI, Junko MORI and Yoshiyuki FUJII (2008): Dynamics and GPR stratigraphy of a polar rock glacier on James Ross Island, Antarctic Peninsula. Journal of Glaciology. 54, 445-451.●ひとこと:最近2年間は南極一色の生活でしたが来年からはネパールやパタゴニアでの調査を再開予定。科研費が通ったらキリマンジャロやケニア山にも進出してみたいです。古澤拓郎(ふるさわ たくろう) 1977年生/東京大学、AA研Fieldnetウェブ構築委員/人類生態学主要著作:「民俗知識に基づく人間・植物・動物の関係」(大塚柳太郎編『ソロモン諸島:最後の熱帯林』東京大学出版会、55-81頁、2004年)●ひとこと:人間の生態を明らかにする研究は、生物学、文化人類学、健康科学などにまたがる。この学際的・包括的な視点は、小さな村を調査するためだけでなく、国家や地球規模の問題を分析するためにも有効であると思うこのごろである。 森島 聡(もりしま さとし) 1965年生/明治大学兼任講師/イラン近現代史 主要著作:「イランの言語政策における特徴──ファルハンゲスターンからロガトナーメイェ・デホダーへ」(『イスラム世界』第63号、21-40頁、2004年) ●ひとこと:昨年、新たなペルシア語日本語辞典を編纂するための会社を創設。今日のイランを理解するために必須の工具となるような辞書を目指して、ペルシア語の新聞や現地で出版された辞書をひっくり返しながら、鋭意編集中。吉松久美子(よしまつ くみこ) 1954年生/東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程/文化人類学 主要著作:『中国人ムスリムの末裔たち』(小学館、2004年。第10回小学館ノンフィクション大賞優秀作)●ひとこと:越し方を思いつつ、今は「移動」をキーワードにカレンの民族誌をまとめております。狩猟、採集、焼畑栽培民の在りし姿は人とは何かを考えさせます。ミャンマーのパンデー調査は、後日再開予定です。PROFILE32Field+ 2009 01 no.1

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