31「ホレシュテ・キャラフス─セロリの煮込み」のレシピ ここでは、日本で簡単に入手できる材料と「比較的」手早く調理できるということで鶏ムネ肉を使うことにします。本当は、羊肉(角切り)を使用します。鶏肉を使う時点ですでに本来の姿から逸脱しているとイランの主婦の皆様から指摘を受けそうですが、豚肉でないということで許してもらいましょう。なお、インド料理と異なり、イラン料理にトウガラシを使った辛口のものはありません。調理時間の目安:およそ1時間45分 材料は、4~5人分を想定しています。鶏ムネ肉:大きめ1枚をカレー用の豚肉をイメージしながら角切りにします。(イランでは羊肉250g、牛スネ肉250gでも良いのですが、その場合は圧力鍋[弱めの圧力で約25分]を使うか4時間程度煮込む必要があります。)セロリ:4~5本を葉と茎を分けて、茎は3~4センチ程度の間隔で切ります。下部の広がった部分は2つに切断します。葉は大きめに刻んで別の容器に分けておきます。タマネギ:大半分(大きめにみじん切り)塩:小さじ1/2(固形スープに含まれる塩分を考慮した追加の目安です。好みで調節してください。)サラダ油:大さじ4(これは多過ぎる! と思われた方、筆者の日本的感覚でセーブした結果が、この量なんです。)バター:10g(羊肉・牛肉を使う場合は必要ありません。)水:800mℓ(これもだいたいの目安です。好みで調節してください。)固形スープの素:1つ(豚肉の成分が入っている可能性もありイスラーム的でありませんが、仕方ありません。羊肉・牛肉では必要ありません。)レモン汁:レモン半分(あれば、小ぶりの乾燥レモンが良いのですが、日本ではほとんど出回っていないのが残念です。スダチやカボスで代用しても良いでしょう。)ターメリック:小さじ1ディルシード:少々コショウ:少々●調理手順 軽く熱した厚底のフライパンか中華鍋にサラダ油とバターを入れ、切ったセロリの茎を入れ、中火で混ぜながら、ターメリックとコショウを振りかけ、20分炒めます。その後、刻んだ葉を加えて更に10分炒めます。根気良く炒めるこの作業が、この料理の最も重要なポイントです。セロリ独特の香りがただよって来たら、タマネギと鶏ムネ肉を加え、肉の表面が白くなるまで炒めます。 水を注ぎ、ひと煮立ちさせて灰あ汁くを取り除いたら、塩・固形スープの素・レモン汁・ディルシードを入れて、最低でも1時間(圧力鍋でしたら15分程度)煮込みます。(浅いフライパンを使った場合は、あふれない程度に水を注ぎ、ひと煮立ちさせてから鍋に移し、残りの水を注いでください。この手順は、セロリの香りを移すために行います。)スープの塩加減を確認・調節したら出来上がりです。現地では、長粒米のライスにかけて食べますが、日本のお米で炊いたご飯でも「良し」としましょう。もっと本場の味を試したい方は、羊肉を使って調理してみると良いでしょう。その場合は、3時間は鍋に付いていなければなりませんが…。(注1)この他、家庭料理ではなく、レストランで出されるキャバーブ(串焼き料理)では、柔らかい羊のヒレ肉を使った炭火焼や、羊肉をひき肉にして香草と混ぜ合わせて、長い金串につけて炭火で焼く、クービーデと呼ばれるものなどもあります。(注2)これは2008年5月19日掲載のペルシア語の記事です。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/pdfs/c-3.pdfから、2005年統計を参照することができます。05年では生産量、消費量とも世界第5位でした。このようにガスが大量消費されているのは、発電や冬季暖房の熱源として利用されていることが主因です。(注3)2008年12月現在、イランでは「水道・電気・ガス・ガソリン・軽油などに対する補助金を全面カットし、国際価格まで引き上げる代わりに、補助金分の予算を国民に現金支給する」という法案の是非について、様々な議論がなされています。セロリの茎を入れ、中火で混ぜながら、ターメリックとコショウを振りかけ、20分炒める。刻んだ葉を加えて更に10分炒める。根気良く炒める。セロリが香ばしくなったらタマネギと鶏ムネ肉を加え、肉の表面が白くなるまで炒める。水を注ぎ、ひと煮立ちさせて灰汁を取り除いたら、塩・固形スープの素・レモン汁・ディルシードを入れて、最低でも1時間(圧力鍋なら15分程度)煮込む。スープの塩加減を確認・調節したら出来上がり。123456できあがり。ごはんにかけてたべるとおいしいはず…。乾燥レモン。イランの料理に欠かせない材料のひとつ。もちろん生でも売られています。バルバリーと呼ばれるナーン(パン)。小麦への政府補助金により価格は、約25円程度。1枚でだいたい4人分の量。Field+ 2009 01 no.131
元のページ ../index.html#33