FIELD PLUS No.1
3/36

1Field+ 2009 01 no.1アジア・アフリカ言語文化研究所(略称:AA研)は、アジア・アフリカの言語・文化に関する総合的研究を目指して1964年に開設されました。以来、国内外の研究者と提携しながら、日本におけるアジア・アフリカ研究を第一線で主導してきました。昨今、「グローバル化」が世界の人々の生活様式を均質化するとも言われています。類似したライフ・スタイルが世界各地で都市部を中心にみられるようになったことは確かです。しかしそれは、世界が単一の文化や言語で覆われることを意味してはいません。アジア・アフリカに暮らす人々の多様な生活の実態を研究することの重要性と必要性は、 「グローバル化」のなかでむしろいっそう増しているのです。世界各地の「現地(フィールド)」で行われているそうした研究活動を紹介することを目的として、このたび『 Field+ 』を創刊しました。多様な世界へと開かれた窓として、本誌をご利用いただきますようお願い申し上げます。■創刊によせて大塚和夫東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所長ごあいさつ2620裏表紙フィールドワーカーの鞄古澤拓郎Q&A各専門のフィールドワーカーにききたい 福井幸太郎(雪氷学、自然地理学)インタビュア/椎野若菜インタビューアフリカの手話に出会うまで亀井伸孝インタビュア/ 西井凉子 ひとりで老いていくということ髙橋絵里香・たかるシングルマザーパプアニューギニアの女性はちゃっかり者?!馬場 淳・コンクリートブロックを高く積んで花渕馨也AA研共同研究「シングル」と社会――人類学的研究891011日本を飛び出して、お隣の国、韓国へ、中国へ。そしてタイ、ベトナムなど東南アジアへ、もっと足をのばしてインドへ、山を越えてチベットへ、イランへ。さらにアフリカ大陸に渡ってサバンナ草原のひろがる灼熱の牧畜民の土地へ、ヴィクトリア湖畔の漁民の村へ。ネイティブ・アメリカンの言語を求めてアメリカ大陸へ。AA研では、生きた言葉を、あるいはもう使われなくなった言葉の原型をもとめて、また異なる地の人びとの暮らしを、文化、そしてその土地に蓄積されてきた歴史などを研究するために、研究者たちがさまざまなフィールドにでかけていきます。碑文をもとめて山奥に行くこともあれば、その土地のお寺や教会、図書館が秘蔵する記録文書を見せてもらうために何度も通いつめることもあります。数ヶ月、数年にわたり、土地の人と寝食をともにして人びとの暮らしのなかから、文化を学ぶこともあります。日本の研究室を出て行なうこうした研究の方法は、ひろくフィールドワークとよべるでしょう。 本誌では、AA研の所員をはじめ、世界のさまざまな土地にでかけて調査研究をしている各分野の研究者が、フィールドワークの現場でどんなことを体験し、どんな研究をしているのか、豊富な写真とともにご紹介していきます。 異なる土地、環境に自らをおいて、さまざまな工夫をして学ぶこと。それがフィールドワークなら、私たちが日本で暮らしている毎日もまた、大きな意味でフィールドワークだといえます。新しい学校や会社にかかわりだしたとき。新しいスーパーに、デパートに入ってみたとき。いつもみていた風景のなかに、視点を変えたら違うものがみえたとき。日常生活のなかで、つねに私たちは何かをみています。それをどうみるのか。本誌が提供する世界中からの情報や視点が、あなたの暮らしというフィールドに何かプラスをもたらすスパイスになればと思います。                   Field+編集部Field+(フィールドプラス)とは

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る