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平成12年度公募研究
ハイダ語スキドゲイト方言の記述的・類型論的研究
代表 堀 博文
組織
氏名
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所属機関・部局・職
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役割分担等
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堀 博文 | 静岡大学・人文学部・講師 | 研究の総括及びハイダ語の記述研究 |
目的
本研究の対象であるハイダ語スキドゲイト方言は、北米先住民諸語の1つで、カナダのブリティッシュ・コロンビア州クィーン・シャーロット諸島に分布する言語である。その話者は、専ら70歳代以上の高齢者に限られ、この10年から20年の間に消滅してしまう可能性が極めて高いと予想されている。 本研究課題は、いまだ十分な研究がなされていない同方言の形態統語法の包括的な記述を第一の目的とし、更に、現地調査での缺を補うという意味で、国内外の研究機関などに所蔵されている、過去のハイダ語の研究資料を蒐集し、その整備を図る。また、ハイダ語の形態統語法に関わる様々な事象について、北米北西海岸地域の他の先住民諸語と対比することにより、ハイダ語の言語類型論的特質を探る。 |
本年度の研究実施計画
ハイダ語スキドゲイト方言の話される地域に赴き、同方言の記述研究を行なう。調査に当たっては、同方言の話者数名の協力を仰ぎ、比較的複雑な構造をなす動詞の形態法に焦点をおいて、それに関わる接辞、なかでも派生接辞と屈折接辞の機能の解明を図る。加えて、統語法に関する調査の基礎作業に入る。 更に、現地調査のみならず、ハイダ語の包括的な理解を得るため、同言語の既存資料の蒐集ならびにその分析と整備を図る。ハイダ語の未公刊資料(19世紀から20世紀初頭にかけての宣教師による語彙集や文法書など)は、アメリカやカナダの様々な研究機関などに所蔵されており、誤った解釈や不正確な記述が少なからず含まれるにせよ、ハイダ語が日常の言語として十分な機能をしていない今日にあって、おそらく得ることが困難な情報が含まれているという点で、いまなおその利用価値は高いと考えられる。 ハイダ語の記述研究を進める一方、ハイダ語の形態統語法に関する理解を一層深化させるために、北アメリカ北西海岸地域に分布する他の先住民諸言語の形態統語法との対比を行ない、ハイダ語の言語類型論上の特質について考察する。 これらの研究を行なうに当たっては、環北太平洋の先住民言語の研究に従事する国内外の研究者と頻繁に意見交換を行ない、本研究課題の成果について助言を仰ぐ予定である。 |