マラヤーラム語辞典の電子化


E-Dictionary project of Japanese-Malayalam Dictionary

プロジェクトの目的

マラヤーラム語 (Malayalam or Malayali) はインド共和国ケーララ州 (Kerala) の公用語であり、ドラヴィダ語族の主要言語の一つである。話者人口はおよそ3000万人である。
本プロジェクトでは、現在編纂・校正中の『日本語マラヤーラム語辞典』の編纂と印刷のために必要な、マラヤーラム文字処理システムを開発し、同辞典を電子化する。さらに電子化データをweb 上で利用するためのツールの開発を行なう。

プロジェクトの概要と進行状況

K.P.P.Nambiar 氏(ケーララ州コーチン市在住)は、1960年代以来、日本留学、東大での博士号取得、インドでのエビ養殖、日本への輸出を中心とした漁業振興を通じて、ケーララ州と日本との関係を築き挙げてきたパイオニアの一人である。公職引退後、氏はさらに日本とインドとの文化的交流の礎とすべく、マラヤーラム人のための『日本語マラヤーラム語辞典』の編纂を企画し、旧い和英辞典を手がかりとして、手書きで2000ページ余りの草稿を準備した。しかし、日本語とマラヤーラム語の混植・印刷・出版については、執筆当初は目途がついていないままの見切り発車であった。
2004年6月に、Nambiar 氏は親交のあった粟屋利江(東外大教授、南アジア近代史専攻)を通じて、AA研を訪問し、IRC(高島・峰岸)に辞典編纂についての助言を求めた。そこで、IRCとして日本語マラヤーラム語辞典編纂のプロジェクトを企画した。
辞典の草稿を見た段階では、語彙の点で古さが目についた。そのためIRCの企画として立ち上げる段階において、AA研として三省堂からデータ提供・利用について了解を得ることを条件として、日本側から三省堂 『デイリーコンサイス和英辞典』(第6版)を参照して辞典編纂を行うように氏に提案し、氏の同意を得た。
2006年度: IRCとして、三省堂出版と、『デイリーコンサイス和英辞典』(第6版)のデータ利用についての許諾を得た。高島、峰岸が、ケーララ州コーチン (Cochin, 現名称Kochi) を訪問し、Nambiar 氏とデータ入力方式について打ち合わせを行うとともに、データの校正を行った。
2007年度: インド側での入力データに基づき、マラヤーラム語辞典データ構築のためのシステムを試作した。
2008年度: IRCがNambiar氏を招へいし、データを仮に印刷し、これに基づいて校正を行った。
2009年度: 本辞典の作成は三省堂辞書に基づく日本語部分に対して、マラヤーラム語データを別途入力したものを結合させるという方式で行なわざるを得なかった。そのためにマラヤーラム語データの入力が対応すべき日本語データと対応していない場合が多数あることが発見されたため、そうした部分を抽出してナンビアール氏に修正をお願いした。同時に日本語の漢字の読みについての校正を行なった。
2010年度: 2009年度に引き続いて、校正を進めた。PDF上での版面校正について「か」行まで進め、形式不整合に由来する問題についてはほぼ全体についての見直しを終えた。
2011年度: 2010年度に引き続いて、校正を進めた。PDF上での版面校正について「は」行まで進め、形式不整合に由来する問題についてはほぼ全体についての見直しを終えた。
2012年度: 2011年度に引き続いて、校正を進めた。2013年1月20日から2月6日までインド側の共同研究者であるナンビアール氏を招聘し、校正およびマラヤーラム語話者のための辞典の使い方のマニュアルの開発を行い、さらに1月30日には情報資源利用研究センター主催国際ワークショップ「日本語ドラヴィダ諸語対照文法と辞書」を開催して、電子辞書の開発に伴う諸問題についての研究と意見交換を推進した。
2013年度: 2013年度は当初の計画は終了したことで事業は行わなかった。
2014年度: 2012年度までに構築したマラヤーラム語電子辞書に4200か所あまりの修正がナンビヤール氏から寄せられたのでその修正を行った。
2015年度: 2014年度に4200か所あまりの修正がナンビヤール氏から寄せられたのでその修正を行ったが、その過程でさらに約1800カ所の要修正項目が発見されたため、それらを修正した。

プロジェクトメンバー

高島淳(AA研教授、IRC)、峰岸真琴(AA研)、K.P.P.Nambiar(インド在住)