モン文字・ビルマ文字

モン文字は、東南アジア大陸部の文化的先進民族の一つであったモン人が、インド起源のパッラヴァ=グランタ文字を受け入れ、自分たちの言語を表すのに用いるようになってできた文字です。現存する最古のモン文字資料は、タイの首都バンコク近郊のナコン=パトムという町にあるプラ=パトム仏塔で発見されたワット=ポーラーン碑文で、6世紀のものと推定されます。

このモン文字が、バガン朝の時代にビルマ人に受け入れられ、ビルマ語を書き表すのに用いられるようになりました。これがビルマ文字の起こりです。現存する最古のビルマ文字資料が、ここで紹介するラージャクマール碑文のビルマ語面です。

写真をご覧になっていただければわかるように、ビルマ文字は時代を追うに従って、方形から丸形へと変化して行きます。これは一つには、主要な書写媒体が石から貝葉へと変化して行ったことによるものだと考えられています。

あわせて、ビルマ語の音のしくみが変化するに従い、その音を表すビルマ文字のしくみも変化して行きました。ただ、音を表すしくみの基本的な部分は、バガン朝の時代から変わっていません。