IRCプロジェクト「地名にみる歴史の痕跡」カチン州地名サブプロジェクト
カチン州地名データベース(試験公開)
最終更新日
2011/4/19
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ビルマ(ミャンマー)のカチン州の地名に関する次の3種のデータを統合したデータベースである.
- NGA GEOnet Names Server (GNS)所収の地名・経緯度・地理名称種別データ(地名表記:ローマ字)
GNSは,米国防総省傘下の国家情報機関の1つであるアメリカ国家地理空間情報局National Geospatial-Intelligence Agency (NGA)が作成管理する,アメリカ合衆国と南極以外の地理名称のデータベースで,地理名称検索とデータのダウンロードが可能である.データの使用に制限はない(ただし,出典がGNSである旨を明記することが推奨されている.)
- ビルマ社会主義共和国連邦宗教内務省 (1974)『州・管区に存する郡ごとの市・地区・村落群および村落:カチン州』(地名表記:ビルマ文字)
行政単位名と階層関係 (state/division - township - town/village tract - ward/village) のリスト.オリジナルのビルマ文字をローマ字転写して用いる.
なお,同種のリストとしては,ミャンマー連邦内務省 (2003)『州・管区に存する県・郡・小郡・市・地区・村落群および村落(国土の様相)』(地名表記:ビルマ文字)や,Myanmar Information Management Unit (MIMU)のMyanmar PCodes(Release IV: 2011.2,地名表記:ローマ字およびビルマ文字)がある.
- 東亜研究会『ビルマ地名要覧』(1943)の所収の地名項目およびその記述の一部(地名表記:ローマ字・カタカナ,記述:日本語)
地理特徴の照合のしかた
上記3種のデータを統合するに当たっては,地名そのもの(データ1,2,3)・経緯度(データ1,3の一部)・所属するtownship(データ2)をもとに地理特徴の照合を行った.
地名そのものによる照合
データ1と3の地名はローマ字表記であり,データ2の地名はビルマ文字転写表記である.地名による地理特徴の照合は次のように行った.
- データ1及び3のローマ字表記された地名に対応し得るビルマ文字転写のセットを表す正規表現を生成し,データ2のビルマ文字転写表記された地名をパターンマッチさせる.
- データ2のビルマ文字転写表記された地名に対応し得るローマ字列のセットを表す正規表現を生成し,データ1,3のビルマ文字転写表記された地名をパターンマッチさせる.
経緯度・所属townshipによる照合
データ1とデータ3のレコードは経緯度情報のフィールドを持ち,データ2は出版年における所属townshipのフィールドを持つ.これらのフィールドを用いて地理特徴の照合を行った.
- データ1とデータ3(の一部)の間で地名が同一であると判断された地理特徴については,誤差を勘案しつつ経緯度を照合.
- データ1および3(の一部)と,データ2との間で地名が同一であると判断された地理特徴については,Myanmar Information Management Unit (MIMU)ウェブサイトに掲載されたカチン州のtownship境界線入り地図を経緯度10分単位のグリッドに分割し,各グリッドに含まれるtownship領域のリストを作り,それをもとに1および3の地理特徴の経緯度データからその地名が所属する可能性のあるtownshipを割り出して2の地理特徴の所属townshipと照合.
本データベースは,下記の研究経費による研究成果の一部をなすものである.
- 科学研究費補助金基盤研究(B)「ビルマ地誌フォーラム-企画・調査・試験的公開-」(研究課題番号:15310165,研究代表者:澤田英夫,2003~2005年度)
- 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所情報資源利用研究センター(IRC)プロジェクト「ビルマ地誌データベース構築第一次作業」(担当者:根本敬)
© SAWADA Hideo, 2011.