ガンダ語の動詞のアクセント

湯川恭敏


 ガンダ語は 300万人以上の話し手を持つウガンダの最有力言語である.この言語の動詞の不定形は,

  oku + (対格接辞 +)語幹 + 語尾a (o は接頭辞に前節する冒頭母音)

という構造を有し,直説法各形は,

 (否定辞 +)主格接辞 + 時称接辞 +(対格接辞 +)語幹 + 語尾a/ye

という構造を有する.

 動詞アクセントには,次のような特徴がある.

(1)動詞そのものは,バントゥ祖語以来の,2つの型の対立を保持している.

(2)主格接辞は,母音1つもしくは子音前鼻音から成るものと,子音+母音から成るものが,アクセント上異なる特徴を示すことが多い.

(3)対格接辞は,アクセント上一様の扱いを受けるが,その一種である再帰接辞は,時に他の対格接辞と異なる扱いを受ける.

(4)各活用形は,動詞の型ごとに,規則的に見えるアクセントを示すが,全活用形を通して見ると,一連の規則を仮定することで完全に統一的に記述できるようには見えず,かなりの不規則性が含まれているようである.

(5)この言語には,多くの場合i+子音に由来する二重子音が認められ,二重子音前半部分は,アクセントの面で(子音+)母音と同等の位置を占めるが,その高さを明示的に発音できないことによる特異性が認められる.