例えば、アンコーレ語では、「木」は単独形では、omuti 3, emiti 4というふうに、 3音節ともすべて低く発音される。この名詞は、このあたりの多くの言語では、ハヤ語 のようにomu{ti 3, emi{ti 4 のようにLHLとなるか、コンゴのビラ語(Vira)のように muti{ 3, miti{ 4 のようにLHとなるの普通である(ビラ語では、一種の冠詞である augmentは用いない)。アンコーレ語のように、すべてLというのは普通ではない。
報告者の最終的目標は、この地域の諸言語の声調の通時的再構成であるが、当面の興 味は、このような全てLの単語がどの様に生じたか、そのプロセスを解明することであ る。ただ、調査の現段階では解決案を提示するには至らないが、アンコーレ語の声調体 系をハヤ語などと比較し、どのような差があるかを明らかにし、解決の方向性を探っ た。
V{ 母音にacute accentを付ける(high toneのしるし)