この資料について
『モッラー・ナスレッディン』紙は,1906年に,ナフチヴァン出身のモハンマドコリーザーデ(Mohammad Qoli-zade)によって,ロシア領コーカサスのティフリス(現グルジア共和国のトビリシ)で発刊された週刊新聞です。アラビア文字のアゼルバイジャン語によって書かれています。1917年まで340号ティフリスで発行され,1921年にはイランのタブリーズで8号,1922年から1931年まではアゼルバイジャン共和国のバクーで400号,発行されました。
モッラー・ナスレッディンとは,イランやトルコに伝わる有名なとんち話の主人公の名前です(護雅夫訳『ナスレッディン・ホジャ物語――トルコの知恵ばなし』平凡社,1965年参照)。この新聞の一面のどこかに,必ずモッラー・ナスレッディンの顔が描かれています。この新聞の特徴は,多くの色刷りの風刺画が含まれていることであり,人々を楽しませる娯楽の要素を持つとともに,当時の政治や社会の旧習を鋭く批判し,人々の啓蒙に大きな役割を果たしました。その影響は,コーカサスのみならず,イラン,トルコ,中央アジアにもおよびました。
本資料は,AA研の文献資料室に所蔵されており,情報資源利用研究センターのデータベース化プロジェクトによって作成されました。